中古品の海外輸出ビジネスを始めるには?古物商許可の有無と利益を出すコツを紹介
日本国内の中古品を海外へと輸出するビジネスをおこなう場合は、古物商の許可を取得しなければなりません。
この記事では、古物商の許可が必要になる理由や、古物営業法における新品と古物の定義について詳しく解説していきます。
さらに、海外で人気の日本製品や輸出のコツについても紹介しますので、これから中古品の輸出業を始めようと考えている人はぜひ参考にしてみてください。
中古品を輸出する場合は古物商の許可が必要
日本国内で仕入れた中古品を海外へ輸出して販売する場合は、古物商の許可が必要です。
取引相手は海外の個人や業者になりますが、仕入れ時点での取引は日本国内でおこなわれるため、日本の法律が適用されます。そのため、一般的な古物商同様に許可を取らなければならないのです。
ただし、同じ輸出でも、新品を国内で仕入れて海外へ輸出する場合に関しては、古物商の許可は必要ありません。古物商許可を取得すべきなのは国内の「中古品」を輸出する場合のみです。輸出の有無ではなく、仕入れるものが新品か中古品かによって、古物商許可の有無も変動します。
古物商許可と中古品の定義
なぜ国内の中古品を輸出する際に、古物商許可が必要になるのでしょうか。ここからは、古物商許可が必要な理由と、万が一許可を取らなかった場合の罰則について解説していきます。
中古品のせどりには古物商の許可が必要
日本国内で中古品を仕入れて海外に輸出する方法は「せどり」と呼ばれるビジネスの1種です。
中古品を仕入れて販売する「中古せどり」をおこなう場合は、店舗の有無に関係なく古物商の許可が必要になります。たとえば、個人が自宅からインターネット上で中古品を売買取引するケースであっても、許可を取得しなければならないのです。
どうして古物商の許可が必要なのか
古物商の許可は主に「中古品の仕入れ」に関連した許可申請です。古物営業に関するルールをまとめた法律に「古物営業法」というものがあります。古物営業法は、盗品の売買防止と速やかな発見のために定められた法律です。
身元を証明せずに中古品を取引できるようにしてしまうと、窃盗などの正規ルートではない売買取引が広まり、被害が拡大してしまう可能性があります。犯罪を助長しないためにも、古物の売買には厳しいルールが定められているのです。
ビジネスのスタイルにかかわらず、営利目的で中古品を仕入れて販売する場合は、古物商の許可を取らなければならないでしょう。
無許可営業のペナルティ
古物商の無許可営業はれっきとした犯罪です。許可を取らずに営業していたことが発覚した場合は、逮捕される可能性もあります。古物営業法に違反すると「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられてしまうのです。
▼古物営業法の詳しい内容については以下記事をチェックしてみてください。
古物営業法上の「新品」と「中古品」の定義に注意
古物営業法では、古物を以下のように定義しています。
この法律において「古物」とは、一度使用された物品若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
一度でも市場に出て取引されたものは、物品の使用の有無にかかわらず「中古品」として扱われるのです。新品だと思って無許可で輸出していたものが実際は中古品だった、というケースも少なくありません。
一般的な感覚だと未使用・未開封品に対して「新品」という言葉を使いますが、古物営業法では定義が異なるため判断を間違えないよう注意してください。
古物商許可と中古品の輸出入
中古品の輸出入に関しては、パターンごとに古物商の要・不要が異なります。輸出だけでなく輸入業も検討している場合は、古物商が必要なビジネスかどうかもあわせて把握しておくといいでしょう。
自分で海外から買い付けてきた中古品を国内で販売するケース
自身がバイヤーとなって現地に赴き、直接買い付けた中古品を日本へ持ち帰って販売する場合は、古物商許可は不要です。仕入れ時点の取引は国外でおこなわれているため、仕入れたものが新品・中古品どちらであっても古物営業法の適応外となります。
日本国内の業者が輸入した中古品を仕入れて販売するケース
「海外の業者や個人→日本国内の業者(仕入先)→貴社」といった形で日本国内の業者から海外の輸入品を仕入れる場合は、古物商の許可が必要です。
国内の業者からの仕入れ行為は日本でおこなわれるため、古物営業法が適用されます。一度市場に出て取引されたものは古物として扱われるので、一般的な古物商と同様の業態であると判断されるのです。
国内から海外在住の業者へ発注して輸入するケース
日本国内から海外の業者に仕入れを依頼して中古品を輸入する場合は、仕入れ行為は現地でおこなわれるため、原則古物商の許可は必要ないとされています。
ただし、管轄の警察署によっては取得すべきと判断されるケースもあるため注意が必要です。管轄の警察署や行政書士などに業務形態や取引内容を明らかにし、事前に相談しておくことをおすすめします。
国内の中古品を輸出して利益を出すコツ
中古品の海外輸出を生業にするなら、利益が出るものを仕入れて高く売ることが重要になります。最後に、海外輸出におすすめの中古品と適した国について紹介しますので、販路拡大や仕入れ時の参考にしてみてください。
海外輸出で利益が出やすい日本の中古品
海外で人気が高い日本の中古品は以下の通りです。
- ・日本文化に関するもの(着物など)
- ・日本のアニメやマンガの関連商品
日本古来の文化は海外でも評価されており、着物や伝統工芸品は国内より高く売れる可能性が高いジャンルです。
ただし、焼き物などの骨董品知識はある程度必要になるでしょう。また、近年では日本のアニメやマンガのフィギュア・グッズなども高い海外人気を誇っています。日本国内でしか販売されていないアイテムなら、コレクター需要が高くなるはずです。
中古品の輸出先におすすめの国
国内の中古品の輸出先に最適なのはアジア諸国です。
先述した人気商材のほかにも、以下のような日用品は需要が高いです。
- ・家電製品
- ・機械類
- ・衣類
- ・ぬいぐるみ・おもちゃ
- ・家具
場合によっては、日本国内では販売が難しい中古品であっても、海外では需要が見込めるケースも存在します。国内で中古品を安く仕入れて需要の高い国へ輸出すれば、十分利益が見込めるでしょう。
中古品の海外輸出をするなら古物商の許可を取ろう
日本国内の中古品を海外へと輸出するビジネスをおこなうためには、古物商の許可が必要です。無許可運営には厳しい罰則が待ち受けているので、必ず許可がおりてから運営を開始してください。
古物商の許可を取るためには、必要書類を所轄の警察署へ提出し審査に通る必要があります。用意すべき書類は申請者の状況によって異なるため、まずは警察署や行政書士に相談してみるのがいいでしょう。
▼詳しい内容については、リサイクルショップの開業準備マニュアル・起業に必要な資格や手続きをまとめた記事も参考にしてみてください。