古物商許可は賃貸アパートでも取得できる!取得手順と注意点を解説

古物商許可は賃貸アパートでも取得できる!取得手順と注意点を解説

「古物ビジネスの営業所は、自宅の賃貸マンション・アパートでも登録できる?」このような疑問をお持ちの方も多いことでしょう。結論からお伝えすると、自宅の賃貸マンション・アパートでも営業所に登録することは可能です。

しかし、賃貸物件を営業所に登録するには、大家さんやオーナーの許可が欠かせません。事前に相談して許可をもらえなかった場合、古物ビジネスの営業所として登録できないので、ほかの営業所を準備しなければなりません。

この記事では、自宅の賃貸マンション・アパートが営業所として登録できない場合の対策を解説します。さらに、賃貸物件を営業所として登録する手順も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「古物商許可」は賃貸物件でも取得可能!物件ごとの取得手順を解説

古物ビジネスを始める場合の営業所は、自宅の賃貸マンション・アパートでも登録できます。
ただし、大家さんやオーナーの許可が必要になるため、無断で登録するのは避けましょう。
ここでは、賃貸物件の種類ごとに営業所として登録する手順を解説します。営業所として登録する物件が決まらなければ、古物商許可を取得できません。
古物商許可をスムーズに取得するためにも、賃貸物件を営業所として登録する手順をチェックしておきましょう。

ケース1.賃貸アパートを営業所にする

古物ビジネスの営業所として事業用のテナントを借りるのが一般的ですが、コストを抑えるために自宅の賃貸マンション・アパートを検討する方もいるはずです。しかし、自宅とはいえあくまで賃貸物件であり「事業として利用するのは難しいのでは?」という声もあるでしょう。

結論からお伝えすると、大家さんやオーナーの許可があれば、賃貸物件であっても古物ビジネスの営業所として利用できます。まずは、大家さんやオーナーに賃貸物件を古物ビジネスの営業所として利用したい旨を伝え、「使用承諾書」を発行してもらいましょう。使用承諾書は大家さんやオーナーが所有する物件を営業所として利用するのを認めた書類になります。

使用承諾書は決まったフォーマットがある訳ではないため、自由に作成して問題ありません。大家さんやオーナーに相談すれば発行してくれるはずですが、不安な場合は「古物商許可」の専門家である行政書士に相談してください。

ケース2.テナントなどの賃貸物件を営業所にする

テナントや貸店舗といった営業所としての利用を前提に貸し出している物件の場合、自宅の賃貸マンション・アパートよりスムーズに古物ビジネスを始められます。必要な手続きは自宅として借りている物件と同様、大家さんやオーナーに「使用承諾書」を発行してもらいます。営業所として利用することを前提としたテナントや貸店舗は、大家さんやオーナーから簡単に許可を得られるはずです。

ただし、テナントや貸店舗を契約するタイミングには注意しましょう。大家さんやオーナーから「使用承諾書」を受け取っても、すぐに古物ビジネスをスタートできる訳ではありません。古物を販売する許可として「古物商許可」も取得する必要があります。古物商許可の取得は早くても40日ほどかかるため、物件を借りるタイミングが早すぎると賃料の負担が大きくなります。

また、古物商許可は必要書類をそろえて管轄の警察署に提出するだけで申請できますが、書類のチェックが厳しく再提出を求められるケースも珍しくありません。書類の再提出があると40日で許可をもらうのが難しくなるので、テナントや貸店舗を借りるタイミングはよく確認しておきましょう。

賃貸物件を古物ビジネスに利用する際の3つの注意点

賃貸物件を古物ビジネスに利用する場合、注意すべきポイントが3つあります。
1つ目はすべての物件が古物ビジネスの営業所に認められる訳ではないことです。駐車場や倉庫のように古物ビジネスに適していない物件は、許可が取れないケースもあります。

2つ目の注意点は、住所をネット上に公開する必要があることです。ネット通販で古物売買を行う場合、情報公開が義務付けられているため、営業所の住所を必ず公開しなければなりません。また、仮想オフィスは古物ビジネスの営業所として登録するのが難しいことも、注意すべきポイントの一つです。これら3つの注意点を事前に把握しておけば、スムーズに営業所を登録できるでしょう。

古物ビジネスの営業所に認められない場合もある

事業利用が許可されているテナントや貸物件でも、使い方によっては営業所として認められない場合があります。古物商許可が定義する営業所とは、古物ビジネスの拠点となる場所を示しており、具体的には商品の仕入れや保管、発送に利用する場所のことです。

そのため、以下のような使い方では条件を満たしておらず、営業として許可を得るのは難しいでしょう。

  • ・事務作業のみを行う
  • ・駐車場として利用する
  • ・倉庫として備品を保管する

営業所に認められるか確認するには、管轄の警察署もしくは行政書士に間取りや室内の写真を見せて相談するのがおすすめです。
物件を契約する前に相談しておけば、契約後に後悔しなくて済むでしょう。

住所をネット上に公開する必要がある

古物ビジネスの営業所に登録する物件は、住所をネット上に公開しなければなりません。ネット上での古物販売は「特定商取引法」の通信販売に当たるため、情報公開が義務付けられています。

そのため大家さんやオーナーに使用受諾書を発行してもらう際には、住所をネット上に公開することも伝えておきましょう。賃貸物件は自分が所有する訳ではないため、勝手に住所を公開するとトラブルになるケースも少なくありません。ネット上に住所を公開することを含めて、大家さんやオーナーの許可をとりましょう。

自宅の賃貸マンション・アパートを営業所にする場合、自宅の住所をネット上に公開することになります。自宅住所を不特定多数の人に知られることに抵抗があれば、営業所専用の物件を契約することを検討しましょう。

仮想オフィス(VRオフィス)は登録できない可能性が高い

仮想オフィス(VRオフィス)は古物ビジネスの営業所に認められる可能性が低く、営業所として登録するのは難しいでしょう。古物ビジネスの営業所は実在性を確認される場合があり、オンライン上の仮想オフィスは営業許可がおりないのです。

そもそも仮想オフィスとは、事務所の住所を借りられるサービスのことで、個人事業主が自宅住所を公開したくない場合に利用できます。そのため、物理的に物件が存在する訳ではなく、あくまでバーチャル上のデータとしてのみ存在しているのです。古物ビジネスの営業所として登録するなら、仮想オフィスは避けたほうが無難でしょう。

賃貸物件が営業所として許可されなかった時の対策

賃貸マンション・アパートで古物ビジネスを始める予定でも、大家さんやオーナーの許可が取れない場合があります。このような場合の対処法として、次の3つを検討しましょう。
1つ目は、実家などの持ち家を営業所に登録する方法です。所有物件であれば大家さんやオーナーの許可を取る必要がないため、スムーズに登録できるでしょう。家族の許可さえあれば、実家を古物ビジネスの営業所に登録することは可能です。
2つ目はシェアオフィスを利用する方法です。個人事業主が使用する共同事務所として扱われるシェアオフィスなら、営業所に登録できる場合があります。3つ目は、営業所用にテナントや貸店舗を借りる方法です。テナントや貸店舗であれば、文句なしで古物ビジネスの営業所に登録できる可能性が高いでしょう。
これら3つの対策について、一つずつ詳しく解説していきます。

実家などの持ち家を営業所に登録する

実家などの持ち家であれば、大家さんやオーナーの許可を取る必要がありません。家族の許可さえあれば、古物ビジネスの営業所に登録するのは簡単でしょう。ただし、地域によっては家族でも使用承諾書が必要になる場合があります。管轄の警察署に確認し、必要に応じて使用承諾書を発行してもらいましょう。

また、実家を営業所に登録すると、基本的には常駐しなければなりません。古物ビジネスを行えるのは「古物商許可」を取得している者に限られるため、実家に常駐しないのであれば、家族に「古物商許可」を取得してもらう必要があります。

実家なら簡単に使用承諾が取れますが、営業所としての管理人や利用しやすさなども考慮しておく必要があるでしょう。

シェアオフィスを利用する

賃貸アパート・マンションの使用承諾が取れなかった場合、シェアオフィスを利用することも候補の一つです。シェアオフィスは個人事業主が仕事で利用するスペースであり、共同事務所ともいえるでしょう。月額料金で借りることができ、敷金・礼金といった初期費用がかからないのが大きなメリットです。

ただし、シェアオフィスを営業所として申請しても、独立性が確認できなければ承認されません。空間をパーテーションで区切ったコワーキングスペースなどでは独立性がないため、営業所として許可を取るのは難しいでしょう。シェアオフィスを営業所として利用する場合、完全に独立した個室が利用できる場所を選んでください。営業所として登録できるか不安なら、管轄の警察署や行政書士に相談してみるのがおすすめです。

テナント・貸店舗を契約する

賃貸マンション・アパートが営業所として登録できない場合、テナント・貸店舗の契約も視野に入れておきましょう。テナント・貸店舗は事業として利用することを目的として貸し出しているため、古物ビジネスの営業所として登録できる可能性が高いのです。

さらに、営業所として借りた物件の家賃は経費申告でき、節税対策としても効果があります。ただし経費申告するには、営業所で仕事をしていることが条件です。そのため、家賃の安さだけで選ぶのではなく、実用性も考慮して選ぶ必要があるでしょう。

テナント・貸店舗として利用できる物件は、賃貸マンションやアパートよりも家賃が高い傾向にあります。古物ビジネスのコストを最小限に抑えるなら、実家やシェアオフィスを優先的に検討し、どうしても難しい場合に店舗契約を行うようにしましょう。

古物ビジネス用に賃貸物件を利用するなら専門家に相談するのがおすすめ!

古物ビジネスとして登録する賃貸物件を決めかねているなら、一度専門家に相談してみましょう。こういった許認可の専門家は「行政書士」になります。

古物ビジネスに登録する営業所だけでなく、「古物商許可」を取得する手続きも代行してくれるため、行政書士に確認しながら手続きを進めればスムーズに古物ビジネスを始められますよ!気になるポイントや不安なことも、古物ビジネスを始める前に確認しておくことをおすすめします。