古物商の管理者とは?選定する際のポイントや注意点を徹底解説

古物商の管理者とは?選定する際のポイントや注意点を徹底解説

古物商の許可申請をする際に必要なのが「管理者」の存在です。そこでこちらでは、古物商の管理者について詳しくご紹介します。
管理者の役割をはじめ、管理者を選定する際のポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

古物商の管理者とは?

ここからは古物商の管理者とはどのような役職なのかを説明します。

古物商の管理者とはどんな人?

古物商の管理者とは、営業所や店舗で古物取引を行う際の責任者です。古物取引の管理、監督、指導を行う立場の人を指します。
古物商のビジネスを展開するためには「古物商の許可」を得る必要があります。古物商の許可とは、盗品が売買されて世の中への流通を防ぐ目的で作られた制度です。
この古物商の許可を取得するためには、必ず各営業所に管理者を設置することが求められているのです。

古物商の管理者に課せられた役割

古物商の管理者には、以下の4つの役割があります。

  • ・商品や取引の管理
  • ・古物台帳の管理
  • ・従業員への指導、監督
  • ・警察への捜査協力

古物の取引に関する管理や買い取った商品の管理も管理者の重要な仕事です。取引の詳細を記載する古物台帳の管理も管理者が行います。
さらに、古物を売買する上で不正品や盗品でないかをしっかりと見極める力が求められます。そこで、管理者には現場の社員やスタッフに対して適切な指導や監督をするスキルが必要です。
盗品や不正品に関する犯罪を取り締まるために、警察絵の捜査協力を求められる場合もあります。

古物商の管理者を選ぶ5つのポイント

古物商の管理者を選定する際の5つのポイントについてご紹介します。

常駐できる人であるか

古物商の管理者は、営業所へ常駐する必要があります。取引業務の監督を行う責任者として、常勤性が求められるのです。
常駐の可否を判断する具体的な基準として、営業所から通勤できる範囲内に居住していることがあります。例えば、片道2時間以上かかるようなエリアに住んでいる場合、常勤することは難しいと判断されてしまうでしょう。
万が一、営業所から離れている場所に居住している場合は、実際に営業所に行き来しているかを確認されるケースがあります。ETCカードの履歴や通勤定期などの提示が必要な場合もありますので用意しておきましょう。

雇用契約を結べるか

古物商の管理者は、雇用関係を結ぶことが原則です。万が一業務委託で部外者を管理者として任命する場合は、受託した相手に古物商の許可が必要となります。
万が一、古物商の許可がない状態で管理者をしていた場合は、3年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金が課せられる可能性がありますので注意が必要です。

管理者として必要な知識や経験があるか

古物商の管理者になるためには実務経験や特別な資格は必要ありませんが、特定の品目を取り扱う場合は一定の知識や経験があるかが問われます。ここからは「自動車、自動二輪車、原付を取り扱うケース」と「時計や宝飾品を取り扱うケース」の2つのケースについて見ていきましょう。

・自動車、自動二輪車、原付を取り扱うケース
自動車やバイク、原付は単価が高く、中古品をメンテナンスしリセールすることで高い利益が期待できます。近年ではインターネットで販売や転売が気軽にできるようになったため、企業や業者だけでなく、個人でも転売ビジネスを始める方が増えているのです。
自動車や、自動二輪車、原付の古物商の管理者として登録するために必要な実務経験や知識、免許はないものの、業務を通して「盗品の流通防止」や「盗品の早期発見」をする必要があります。
具体的には、車体や車体番号が改造されているかを判別するための知識や経験が必要です。そのため、以下の条件をクリアすることが求められます。

・中古自動車やバイクをに関わる販売・修理業務に3年以上従事したことがあるか
・全国防犯協会連合会が推奨した講習を受講しているか

しかし、上記の条件はあくまでも目安であり、努力義務です。知識や経験がないからといって処罰の対象にはなりません。

・時計や宝飾品を取り扱うケース
時計や宝飾品を取り扱う営業所の場合も、自動車やバイクと同様に盗品や偽物を見抜く力が求められます。そのため、管理者として登録するためには、次の知識や経験があると有利に働くでしょう。

・宝石鑑定士
・ブランド鑑定士
・オーバーホールのスキル
・時計、宝飾品を正しく鑑定できる鑑定力

時計や宝飾品を取り扱う営業所に一定期間勤務することはもちろん、上記の資格やスキルがあることで管理者として目利きがあることを証明できるでしょう。

営業所に1名確保できるか

古物商の管理者は、各営業所に1名選任する必要があります。複数の営業所や店舗を持つ企業や事業者の場合は、会社代表や役員が管理者を兼任することはできても、複数の営業所の管理者にはなれません。

よく街中にあるリサイクルショップなどの店舗では、会社の代表ではなく業務の責任者である店長が管理者として登録されるケースが一般的です。

欠格要件に該当しないか

法律上、以下の要件に1つでも該当するものがある場合は、古物商の管理者になれません。

  • ・未成年
  • ・成年被後見人
  • ・被保佐人
  • ・破産者で復権を得ない者
  • ・一定の刑に処せられてから5年を経過しない者
  • ・住居の定まらない者
  • ・古物営業法第24条の規定により古物営業の許可取り消されてから5年を経過しない者
  • ・心身の故障などの理由により管理者の業務が適切にできない者

管理者を選定する際に、本人が該当している要件があったとしても隠している場合もあるので判断が難しいところです。管理者として任命した後に、欠格要件に該当すると判明した場合は、営業停止処分や営業許可の剥奪も考えられるため、信頼できる人を選んでいきましょう。

古物商の許可申請時や管理者となった場合の注意点

ここからは古物商の許可申請を行う際や管理者となった場合に注意したいポイントについてご紹介しましょう。

古物商の許可申請をする際の注意点

古物商の許可申請をする際、申請者と管理者が異なる場合もあるでしょう。その場合は、管理者の証明書類として次の4点の提出が求められますので注意してください。

  • ・住民票
  • ・身分証明書
  • ・略歴書
  • ・誓約書

管理者になった後の留意点

管理者として登録をした後は、営業所の取引に関する管理やスタッフの指導、および監督を行う必要があります。最新の知識や法改正に関する情報をアップデートするために、以下の講習会に定期的に参加していきましょう。

  • ・古物商等新規許可業者法令講習会
  • ・警察署別法令講習会

講習会への参加義務はありませんが、定期的に参加することをおすすめします。

【まとめ】ビジネスを成功させるためにも古物商の管理者を選定は重要!

古物商の管理者に関する基礎知識についてご紹介しました。
古物商の管理者の主な業務は以下の通りです。

  • ・商品や取引の管理
  • ・古物台帳の管理
  • ・従業員への指導、監督
  • ・警察への捜査協力

さらに、管理者として登録するためには、次の条件をクリアする必要があります。

  • ・常駐できる人であるか
  • ・雇用関係を結べるか
  • ・管理者として必要な知識や経験があるか
  • ・営業所に1名確保できるか
  • ・欠格要件に該当しないか

条件を満たす人を管理者に設定しないと、処罰の対象となる可能性もあるので注意が必要です。ご紹介した内容を参考に、誰が管理者として適任かを検討してみましょう。