【13品目】古物商の取扱品目とは?|届け出が必要・不要なケースや届け出時の注意点を解説

【13品目】古物商の取扱品目とは?|届け出が必要・不要なケースや届け出時の注意点を解説

古物商の許可申請をおこなう際は、取り扱い品目もあわせて申請する必要があります。申請する直前に悩んだり迷ったりしないためには、自分の扱いたい古物がどの品目に該当するのか把握しておかなければならないでしょう。この記事では、古物商の全13品目について紹介し、申請時の注意点や品目の選び方について詳しく解説していきます。これから古物商の許可を取ろうと考えている人はぜひチェックしてみてください。

古物商で扱える品目とは

古物商を営むためには、何を取り扱うのかを明確にして警察へ届け出なければなりません。まずはどんなものが古物に該当するのかチェックしておきましょう。

古物に該当する品目

古物営業法によって古物に指定されている品目は全部で13品目あります。以下は古物の品目と具体的な品名を一覧にしたものです。

品目 詳細
美術品類 絵画・書画・彫刻・工芸品など
衣類 洋服・着物・敷物・布団・帽子など
時計・宝飾品 時計・宝石類・オルゴール・眼鏡など
自動車 自動車本体・タイヤ・カーナビ・サイドミラーなど
自動二輪車及び原動機付自転車 自動二輪車や原動機付自転車本体・タイヤなど
自転車類 自転車本体・カゴ・カバー・空気入れなど
写真機類 カメラ・ビデオカメラ・双眼鏡・光学機器など
事務機器類 パソコン・コピー機・ファックス・レジスターなど
機械工具類 家庭電化製品・電話機・家庭用ゲーム機・工作機械など
道具類 CD・DVD・ゲームソフト・玩具類・家具・日用雑貨など
皮革・ゴム製品 バッグ・靴・毛皮・化学製品など
書籍 文庫本・雑誌・マンガなど
金券類 商品券・テレホンカード・収入印紙・切手など

上記13品目の中古品を取り扱いたい場合は、品目ごとに古物商の許可を取る必要があります。たとえば、洋服と服飾品全般を取り扱うリユースショップを経営したい場合は「衣類商」「時計・宝飾品商」「皮革・ゴム製品商」の許可を取るべきでしょう。

古物に該当しない品目

法律上古物として扱われていないものであれば、古物商の許可は必要ありません。古物に指定されていない品目には以下のようなものがあります。

  • ・化粧品・薬品・サプリメント(消費してなくなるもの)
  • ・酒類・食品(消費してなくなるもの)
  • ・投機目的のインゴット(アクセサリー・観賞用を除く)
  • ・物品に手を加え、用途・性質を変化させたもの(リメイク品・ハンドメイド品など)
  • ・物品の本来の性質・用途に変化を加えないと利用できないもの(原材料系)
  • ・再利用できないもの(廃品)
  • ・実体がないもの(電子チケットなど)

インゴットとは、地金・金塊・銀・プラチナなどの加工前の貴金属のことです。干渉目的でなく投資目的で取引される場合は、古物商の許可は必要ありません。

また、手を加えたものや手を加えなければ使用できないものも対象外です。たとえば、古いジーンズをリメイクしてバッグにした場合は、本来の性質・用途とはまったく違うものに生まれ変わっていることになるため古物に該当しません。空き缶や金属の原材料など、加工をしないと用途が生まれないものに関しても同様です。

近年では、IT化が進んで「電子チケット」などの実体がないもの取引されるようになりましたが、現時点では古物として扱われていません。

【届け出が必要】古物商の13品目

古物商の届け出が必要な13品目をより詳しくみていきましょう。品目の中には名前から連想しにくいものも含まれているため、届け出に不備がないよう配慮しなければなりません。自分が扱いたい商材がどの品目に含まれるのか、しっかり把握しておいてください。

1.美術品類

美術品類は「鑑賞して楽しむ美術的価値を有している物品」が含まれると定義されています。絵画や書画・彫刻だけでなく、登録火縄銃や登録日本刀なども該当するので注意しましょう。本来は武器としての役割を持つものですが、現代では骨董品として扱われています。

2.衣類

衣類の定義は「繊維製品・革製品で主に身に纏うもの」です。ただし「法律上の衣類」である帽子・旗・敷物・テーブルクロス・布団など該当するため、届け出の際は注意しましょう。たとえば、絨毯などの中古買取をする場合は、衣類商の届け出が必要になります。

3.時計・宝飾品

時計・宝飾品と聞くと、アクセサリーや貴金属などの高価なものが該当するように感じるかもしれません。しかし「所持する人の好みによって選ばれ、身につけて使用される飾り」と定義されているため、眼鏡やコンタクトレンズ・オルゴール・万歩計なども該当します。

また、高価なものが多いため、時計・宝飾品の品目は慎重に取り扱わなければなりません。当然古物商許可の審査も厳しくなるでしょう。

4.自動車(それらの部品含む)

自動車の品目には、自動車本体と本体の一部として使用される部品が該当します。バンパーなどのパーツ品や、タイヤ・カーナビなどの関連品の古物を扱う場合も、自動車商の届け出が必要です。

「整備が万全でないと持ち主だけでなく社会全体の安全を損ねかねない」ため、ほかの品目よりも審査が厳しく、高度な専門性が求められる特徴があります。

5.自動二輪車及び原動機付自転車(それらの部品含む)

バイクや原付バイクは、自動車と取り扱い品目が異なるため注意しましょう。両方取り扱いたい場合は、2品目分の届け出が必要です。本体以外のサイドミラー・エンジン・インジェクターなどの部品やパーツも該当します。

6.自転車類(それらの部品含む)

自転車類には、自転車本体や本体の一部として使用される部品やパーツが該当します。タイヤやギアだけでなく、空気入れやカバーなどの自転車関連品も含まれるため、取り扱い時は注意しましょう。

7.写真機類

写真機類の定義は「プリズム・レンズ・反射鏡を組み合わせて作られているもの」です。具体的には、カメラやビデオカメラ類・双眼鏡や望遠鏡など、レンズを通して物を見る物品はすべて写真機類に該当します。また、ボディだけでなく、レンズやしぼりなどの関連品、顕微鏡や分光器などの専門的なものも写真機類です。

8.事務機器類

事務機器類は「計算・記録・連絡などを効率的におこなうために使われる機器や器具」と定義されています。コピー機・シュレッダー・ファックス・電卓などのオフィス機器や、パソコン用品などが具体例です。

9.機械工具類

機械工具類には「原則、物の生産や修理のために使われる機器や器具」という定義があります。ただし、定義とは少々離れている電話機や家庭用のゲーム機も機械工具類に含まれるため、取り扱い時は注意が必要です。

10.道具類

道具類はほかに分類されないすべてのものが該当します。具体的には、家具・日用雑貨・ホビー用品・運動用具などです。ホビー用品にはおもちゃ・楽器・ゲームソフト・CD・DVDなどが含まれています。

11.皮革・ゴム製品

皮革・ゴム製品の品目は「主に革製品・ゴム製品」と定義されていますが、実際はその限りではありません。バッグ・靴・毛皮などが具体例ですが、エコファー・合皮製品も該当します。「革やゴムで作られているものが多い品目」だと認識しておくといいでしょう。

12.書籍

書籍には明確な定義はなく、文庫・コミック・雑誌などのあらゆる書籍が該当します。古本の買取・販売だけでなく回収業も古物商に該当するため、しっかり届け出をしておきましょう。

13.金券類

金券類にも明確な定義はありませんが、主に金銭の代わりに特定のものと交換できる、財産的価値がある券面が該当します。具体的には、ビール券・お米券などの商品券や、旅行券・チケット類・図書券・テレホンカード・切手・収入印紙などです。

届け出前に取引方法を確認しよう

古物営業に該当する取引でなければ、古物を取り扱っていても届け出が不要なケースも存在します。自分の営業スタイルがどちらに該当するのかもきちんと知っておくべきでしょう。

古物営業に該当する取引

古物営業は、古物営業法の第2条で「古物の売買・交換・委託を受けて売買・委託を受けて交換をおこなう営業」であると定義されています。具体的には以下の取引内容です。

古物の品目 具体例
一度使われた物品を転売する せどりなど
古物を買取後修理して再販する パソコンショップ・オーディオショップ・楽器店など
古物を買い取ってパーツを売る 中古車販売など
古物を預かり、売れたら手数料を貰う 代理商・仲介商などの委託販売
古物を引き取り、別のもの(お金以外のもの)と交換する 古本を受け取りコーヒーの引換券を渡すブックカフェなど
古物を買取し、レンタルする レンタカー業など
国内で買取した古物を海外に輸出する 商社

上記に該当する取引をおこなう際は、古物商に該当するため許可申請が必要になります。申請せずに営業したことが発覚すると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられるため、漏れなく申請しましょう。

古物営業に該当しない取引

古物営業に定義されない取引も存在します。以下の取引をおこなう場合は、古物商の許可は必要ありません。

古物の品目 具体例
自分が使用した古物を販売する メルカリ・ヤフオクで私物を売る
お店で買ってきた新品を転売する

自分で使っていたものを売る場合は古物営業に該当しないので、リサイクルショップの買取を利用する、メルカリなどで不用品を売る際の届け出は不要です。また、自分でお店から新品を買ってきて転売するケースも古物営業に該当しません。

ただし、第三者が買ってきたものを買い取って転売する場合は、古物商が必要な取引になります。商品が未使用品かどうかではなく、一度人の手に渡っているかどうかが重要です。一度第三者の手に渡った新品は未使用品ではなく「新古品」と呼ばれ、古物として扱われます。

品目の選び方と注意点

取り扱い品目が決定したら、営業所の所在地を管轄している警察署へ届け出をおこないましょう。古物商許可を申請する際は、メインとして取り扱う品目を1つ決めておくとスムーズです。

初回の許可申請は1品目がおすすめ

申請時の品目数に上限はありませんが、初回の許可申請時は「主として取り扱う1品目のみを申請する」ことをおすすめします。

主として取り扱う品目は、十分な知識・経験がある分野を選択するのがいいでしょう。特に初回申請時は審査が厳しく「適法に扱う知識を持っているかどうか」をヒアリングされる可能性もあります。扱う品目数は必要最低限にしておくほうがスムーズです。

古物商許可の取り方・申請方法についてはこちらの記事を参考にしてください。

多品目申請はデメリットが大きい

古物商許可を取得する際は、複数の品目を選択することも可能です。ただし、全部許可を取っておけば便利というわけではありません。特に初回申請時は、取扱品目が多ければ多いほど警察署での確認事項が細かくなる傾向があり、手続きの難易度が上がってしまうのです。

また、取り扱う品目が多いと営業開始後も警察対応の手間がかかります。古物商には、盗品が中古市場に出回るのを阻止するため、警察の捜査に協力することが義務付けられているのです。品目が多ければその分対応に追われることになるでしょう。

取り扱い品目は「変更届」で追加申請することも可能です。追加で申請するケースなら既に営業実績があるため、初回よりもスムーズに許可が下りる傾向があります。

古物商許可は必要な品目だけ申請しよう

初めて古物商許可を取る際は、主に扱う1品目に絞って申請をおこないましょう。将来取り扱うかもしれないという不確定な品目は、本当に必要になってから追加申請することをおすすめします。まずはスムーズに古物商許可を取得し実績を残すことが大切です。