リサイクルショップの開業準備マニュアル総まとめ!起業に必要な資格・手続きは?

リサイクルショップの開業準備マニュアル総まとめ!起業に必要な資格・手続きは?

消費者にとって、安価に商品を購入でき、時には「掘り出し物」を見つけることもあるリサイクルショップは、近年ますますニーズの高まっている業態です。
インターネットオークションの普及もその流れを後押しし、ネットがあれば店舗を持たなくても開業することさえ可能、ということもあり、リサイクルショップで起業をしようと考える方も多くいます。

しかし、開業には免許の取得を始めとするさまざまな手続きや、多くのノウハウが必要です。

このページでは、リサイクルショップ開業に至るまでの具体的な流れ、たとえば「古物商許可」の申請方法や開業に必要なものなどを、順に説明していきます。

良いものを安く提供し、お客様に喜んでもらうためには、なによりアイデアやフットワークが大事。
ですがそれを活かすためには、基本の知識がやはり重要です。
事前の準備をしっかりとして、賢く起業をしましょう。

開業に必須の古物商許可とは

リサイクルショップは法律的には「古物営業」という業態になります。
「古物」とは、「一度でも取引をされたことのある物品」のことです。
未使用で、ほぼ新品のまま売りに出された、いわゆる「新古品」も法律的には「古物」の扱いになります。

この古物の売買(古物営業)を行う際に必須になるのが、古物商許可なのです。

古物営業とみなされる事業の種類

  • ・古物商:古物の売買、交換をするか、委託を受けてそれを行う。
  • ・古物市場主:古物市場(古物商同士での古物の売買、交換を行うための市場)を経営する。
  • ・古物競りあっせん業者:古物売買の斡旋を競りの方法で行う。

このサイトをご覧になっている方のほとんどは「古物商」の開業を想定していると思われますが、上記3つのいずれの業態でも「古物商許可証」が必要です。

古物商許可の免許を取得するためには、管轄の警察署に届け出て、手続きを行う必要があります。

なお、無許可で上記の古物取引を行った場合は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金という罰則がある上、その後5年は古物商の許可証を受けることができません。以下、古物営業法からの引用です。

第三十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一  第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者

古物営業法(昭和二十四年五月二十八日法律第百八号)より引用

古物取引は盗品売買の温床となる危険性もあるため、無許可営業には厳しい罰則が設けられているのです。
必ず、営業開始前に古物商許可を得てから開業しましょう。

古物商許可の申請に必要な書類

古物商許可の申請は、営業を行う住所を管轄する警察署で行います。
申請書類は警視庁のサイトから申請書類をダウンロードすることも可能ですが、警察署内の「古物商担当」の係へ直接出向いて書類をもらい、説明を受けておくことをおすすめします。

申請に必要なものの一覧
必要書類 入手場所 備考
1 古物商許可申請書 管轄の警察署
2 誓約書 管轄の警察署 個人用、管理者用、法人役員用の3種類。必要なものを提出。
3 略歴書 管轄の警察署
4 使用承諾書 管轄の警察署
5 住民票 役所 ※管理者と申請名義人が違う場合はそれぞれ必要
6 身分証明書 役所 ※管理者と申請名義人が違う場合はそれぞれ必要
7 登記されていないことの証明書 法務局 ※管理者と申請名義人が違う場合はそれぞれ必要
成年被後見人、被保佐人に登記されていないことを証明するもの。
8 登記簿謄本 法務局 法人の場合のみ
9 定款のコピー 法人の場合のみ
10 営業所の賃貸契約書 営業所のオーナー
写し または管理会社
11 営業所の使用承諾書 営業所のオーナー、または管理会社
12 店舗周辺地図 地図サイトなどから印刷
13 委任状 ※申請の手続きを名義人と別の人物が行う場合のみ
14 ホームページに関する書類 プロバイダからの書面
ドメイン登録状況画面のプリントアウト
※インターネット上で古物取引を行う場合のみ
15 収入証紙 管轄の警察署など 19,000円。書類を揃えて申請時に警察署で購入可能。

このほかにも、顔写真などが必要になる場合もあります。
管轄地域の警察署によって必要かどうかは変わりますので、警察署の担当係で詳しく相談し、確認しておきましょう。

基本的な書類

  • 1.古物商許可申請書
  • 2.誓約書
  • 3.略歴書
  • 4.使用承諾書

警察署の古物商担当係でもらうか、警視庁のサイトからダウンロードが可能です。

参考:警視庁 古物商許可申請のページ

身分を証明するための書類

  • 5.住民票
  • 6.身分証明書
  • 7.登記されていないことの証明書

本籍記載の住民票、ほか、自分の身分を証明する書類です。
管理者と申請名義人が違う場合には、それぞれに必要となります。

※「管理者」「申請名義人」について
リサイクルショップを実際に営業する営業所ごとに、「管理者」を立てる必要があります。

一人で営むのであれば、申請名義人と管理者が同じになるので、上記の5~7は1通ずつで問題ありません。
しかし、法人の場合など、申請を行う人と営業所の管理者が別の場合、それぞれに書類を用意する必要がありますので注意してください。

なお、管理者は複数の営業所を兼任することはできません。
事務所、営業所ごとに必ず1名ずつ、古物の管理、監督、指導ができる立場の人を設置する必要があります。

法人の場合に必要な書類

  • 8.登記簿謄本
  • 9.定款のコピー

法人の場合にはこちらも必要です。
履歴事項全部証明書を取得し、一緒に提出します。

物件に関する書類

  • 10.営業所の賃貸契約書写し
  • 11.営業所の使用承諾書
  • 12.店舗周辺地図

営業所となる物件のオーナーに許可を得て、これらの書類を提出する必要があります。
店舗周辺地図はGoogleマップなどから印刷すれば問題ありません。

そのほかの書類

  • 13.委任状

申請手続きの際に、名義人と違う人物が警察署に赴く場合に必要です。
通常であれば不要ですが、もしそういった場合には警察署に確認をしてください。

インターネットで古物の取引を行う場合の届出

Webサイトなどを通じて商品の売買をする場合は、申請書類の中にその旨と、ホームページのURLを記載します。
それに加え、使用するWebサイトに関する以下の書類を提出する必要があります。

・プロバイダなどから送付された「登録者名」「ドメイン」「発行元(プロバイダ名)」の3点が記載された書面
※「登録完了のお知らせ」などのメールの写しや、郵送で届く開通の通知、証明書など。

・ドメイン登録状況のプリントアウト
※「WHOIS」などのドメイン検索サービスで、その対象ドメインの登録状況を検索し、表示された登録状況画面をプリントアウトし、提出。

これらは古物取引を行うそのWebサイト、およびドメインが、申請名義人の使用権限であることを証明するものです。
Webサイトの利用を考えているのであれば、警察署で詳しく確認をしておきましょう。古物商許可の申請に必要な書類

古物商許可証の申請・取得方法|警察署に行って申請

揃えた書類を持って、管轄警察署の古物商担当係に行き、申請を行います。

ただし、一度で申請が通らないことも多々あります。
地域ごとにもそれぞれやり方がありますので、詳しく話を聞いて、指示に従いましょう。
何度か修正をすることも考えられるので、時間的な余裕を持って申請に行くことが大切です。

書類に問題がなければ、19,000円分の収入証紙を購入し、申請受理となります。

申請許可までにどれくらいかかるの?

申請が受理されて古物商許可の免許が下りるまで、大体40~60日くらいかかります。
書類の修正を何度か行う可能性を考えると、資格の取得には開業の2ヶ月半~3ヶ月くらい前から手続きを始める必要があります。

開業準備と並行して、早めに手続きを始めましょう!

古物商許可プレートの掲示

晴れて古物営業の許可が下りたら、警察署から連絡がありますので、古物商許可証を警察署に取りに行きます。
その際に、「古物商許可プレート」について説明を受けます。

営業を行うにはこの「古物商許可プレート」を掲げる必要があるわけですが、細かいルールがありますので、しっかり話を聞いて対応しましょう。
古物商許可プレートを用意したら、晴れてリサイクルショップの開業が可能になります!
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リサイクルショップの開業資金はどれくらい必要?

さて、古物商取引の免許を取得しましたが、当然のことながら、資格だけでは営業はできませんので、いろいろと準備をしなくてはなりません。

まずは商品を仕入れる必要がありますし、店舗を持つなら店舗の設備工事、契約費用なども必要になってきます。
店舗を持たず、ネット売買のみだとしても、ホームページは必要ですし、用意するものはたくさんあります。

まず、開業するまでに必要な資金を整理してみましょう。まとめるとざっくり以下のようになります。出店する地域や条件、扱う商材によって費用は変わるので、あくまで目安としてご覧ください。

店舗型 ネット型
物件の契約費 360万 60万
設備費 100万 10万
軽トラック 20万 20万
仕入れ費 100万 100万
ホームページ構築費 30万 30万
人件費 60万 60万
広告費 10万 10万
その他・雑費 20万 20万
700万円 310万円

物件の契約料

店舗なら広さや立地、地域によってもかなり異なります。
しかし、売り場面積でいえば25坪くらいは欲しいところです。
家賃でいえば30~40万といったところでしょうか。

注意しなければいけない点として、先述の手続き上、古物商許可証を取得するには営業所が決まっている必要があります。
そのため、申請が下りるまでの2~3ヶ月分の家賃も事前に確保する必要があり、敷金、仲介料、礼金などと合わせると、条件によっては12ヶ月分くらいまでかかることを見込んでおいた方がいいでしょう。

リサイクルショップにとって家賃は大きなコストになり、また、立地などは売り上げを大きく左右します。
物件探しは慎重に行いましょう。

また、店舗を持たずネット売買だけだとしても、事務所や商品を保管する場所などは必要です。 事務所と倉庫の契約費用も計算に入れておきましょう。

設備費用

店舗なら、棚などの什器や看板、空調設備費、出張買取用の軽トラック、そのほか、備品の購入費など、あれもこれもと集めていると、それなりの金額になっていきます。

少なくとも100万円ほどは見込んでおいた方がいいでしょう。

商品の仕入れ費用

いくらリサイクルショップとはいえ、開業当初になにも商品がないわけにはいきません。
扱う商材にもよりますが、商品仕入れの資金としては最低30万、できれば100万円くらいは欲しいところです。

リサイクルショップの仕入れ・値付け方法については以下記事でより詳しく解説しています。

また、記事の最後では買取依頼を簡単に獲得できるサービス「おいくら」も紹介しています。

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軽トラック

重要です!
出張買取や仕入れなど、あらゆる局面で活躍します。

中古なら20万円くらいで買えることも多いです。
店舗でもネットのみでも、必ず計算に入れておきましょう。

ホームページ構築費

最近は無料でホームページ構築ができるサービスなどもいろいろありますが、やはり事業としてしっかりやっていくのであれば、ある程度コストをかけてしっかりしたサイトを作りたいところです。

パソコンに詳しい知人に安く頼んだり、自分で頑張ったりということも可能ですが、10~30万円くらいは見ておいた方がいいでしょう。運用・保守のランニングコストもかかる場合がありますので気をつけましょう。

人件費

バイトを雇わないのだとしても、自分の人件費を計算に入れることを忘れないでください。
特に、開業するまでの生活費はしっかりと費用に計上しておかないと、開業間際に「資金が足りない……!」ということにもなりかねません。

広告費

せっかくオープンした店舗に誰もお客さんが来ないのでは本末転倒です。
チラシを作るのか、広告を出すのか、なんらかの施策をするために、少なくとも10万円くらいは確保したいところです。

▼集客方法やコストについては、リサイクルショップのおすすめ集客方法を解説している以下記事をご一読ください。

そのほか雑費

文房具だとか交通費だとか、または商品のメンテナンスに使う備品・消耗品など、細かい経費の積み重ねは馬鹿にできません。
余裕を見て予算を確保しておかないと、資金繰りが行き詰まる原因になることもあり得ます。

開業資金はどれくらい必要か?

まとめ

リサイクルショップの開業に必要な手続き・準備物・資金について解説しました。非常に多くの準備物と期間が必要になることがおわかりいただけたかと思います。

事務的な準備だけでなく、ビジネスとして成立功させていくには仕入・販売・集客などの戦略構築なども多忙な中でも並行して進めていかなければならない訳ですが、こうした業務の一部を請け負ってくれたり、相談に乗ってくれたりするサービスもあります。

開業時期の少ない人数で漏れなく準備するのには限界があります。リユース事業者向けのサービス・ツールなども有効に活用を検討しながら上手に開業していきましょう!

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