損害保険や社会保険など、リサイクルショップの運営者が加入すべき保険
リサイクルショップを経営するには、古物商の許可や店舗の契約、商品の仕入れといったことはもちろん重要です。
しかしそれ以外に、目立たないものの、非常に重要度が高いのが、各種保険への加入です。
経営においての必須事項とも言えますので、必ず検討をしておきましょう。
損害保険の特徴と加入方法
まず第一に、店舗、事業所として物件を借りた場合は、一般的に火災保険への加入を求められます。
これは住宅を借りる時と、基本的に変わりません。
それとは別に、経営上のさまざまなリスクを考え、店舗総合保険などの損害保険に加入しておくことをおすすめします。
損害保険とは
古物商に限らず、店舗や事務所の経営を行っていると、さまざまな経営リスクに見舞われます。
火災などによって建物、および近隣へ被害を出してしまった、という場合はもちろんですが、それ以外にも、
- ・売り物や設備が破損、盗難に遭う(財産に関するリスク)
- ・火災などにより、休業を余儀なくされる(休業リスク)
- ・お客様に怪我をさせてしまったり、委託された商品を破損してしまい、賠償を迫られる(賠償リスク)
といった不慮の事態に対処するためには、それらに合わせた保険に入っておく必要があります。
会社員と違い、リサイクルショップのような事業は、休業をしたり、商品が売り物にならなくなったりしたら、それだけでかなりの損害となります。
万が一の事態に備え、損害保険には確実に入っておくことをおすすめします。
直接的な補償金のほかにも、たとえば火事で焼けた店舗の残存物を片付ける費用や、休業期間の売り上げ、仮店舗での営業費用、さらには、復旧後の広告宣伝費などもオプションとして付いている保険などもあります。
損害保険の加入方法
「店舗 損害保険」などで検索すると、保険会社それぞれが、さまざまなプランを展開しています。
損害保険の額や補償範囲は、店舗や事務所の業態や広さ、または上記のオプションによって変わってきます。
自分が開こうとするリサイクルショップの経営計画に合わせて、保険会社などに相談しつつ、しっかりと比較を行うことが必要です。
まずは保険会社へ資料を請求し、窓口などで相談をしましょう。
民間の保険会社なので、プランが定まればあとは担当の方が進めてくれますが、必要なもの、不要なものの選択はしっかりと行っていきましょう。
社会保険への加入手続きについて
上記のような損害保険以外にも、自身で事業を開業するには、会社員であれば会社がまとめて払っていた各種の社会保険にも加入する必要が出てきます。
加入が必要になるケース
・法人の場合
会社を設立した場合には、たとえ労働者が一人もいない、自分だけの会社だとしても、健康保険と厚生年金保険に加入することが義務付けられています。
・個人事業の場合
個人事業の場合、一人であれば社会保険への加入義務はありませんが、従業員が5人以上になると社会保険の強制適用事業所になり、健康保険と厚生年金保険に加入しなくてはなりません。
社会保険の加入方法
事業所の所轄となる社会保険事務所へ届け出を行うことで加入をします。
提出を求められる書類は、
- ・新規適用届
- ・新規適用事業所現況書
- ・保険料納入告知書送付依頼
- ・被保険者資格取得届
などですが、登記事項証明書やそのほかの書類を添付する必要がありますので、窓口でしっかりと説明を聞き、対応を行いましょう。
労災・雇用保険の加入手続きについて
個人事業でも法人でも、従業員を一人でも雇用するのなら、労働保険(「労災保険」と「雇用保険」のこと)の届け出を行う義務があります。
- ・労災保険……通勤中、業務中に怪我や病気になった際に従業員やその家族に給付を行う保険
- ・雇用保険……従業員が失業した場合に、生活を保障する保険
個人事業でも法人でも、従業員を雇うのであれば加入は必須の義務です。
労災特別加入について
労災保険は通常、労働者が加入するものであり、その労働者を雇用する立場の事業主、またはいわゆる「一人親方」の個人事業主は加入することができません。
しかし、一定の規模より小さい事業主であれば、特別加入が認められます。
開業したばかりのリサイクルショップであれば、まず入れるはずです。
こちらは義務ではありませんが、たとえば出張買取の際の事故で怪我をしてしまった、といった事態に備え、検討をしておきましょう。
労災・雇用保険の加入方法
労働保険の届け先は、会社の所在地を管轄する労働基準監督署です。
労働基準監督署に届け出るものとしては、以下のようなものがあります。
- ・適用事業報告
従業員を雇った時点で、労働保険の適用事業となるため、その旨を提出します。 - ・保険関係成立届の提出
最初の従業員を雇用した日から10日以内に提出します。
そして、ハローワークに届け出るものとしては、以下の書類があります。
- ・雇用保険適用事業所設置届
従業員を雇用した日から10日以内に提出します。 - ・雇用保険被保険者資格取得届
上記と合わせて提出します。
労働基準監督署に届け出るものも、ハローワークに届け出るものも、どちらも事業や労働者に関する書類を添付する必要がありますので、窓口でしっかりと確認を行ってください。
添付すべき代表的な書類は、以下の通りです。
- ・登記事項証明書
- ・労働者名簿
- ・賃金台帳
- ・出勤簿
まとめ
保険はリスクを避けるためのものです。
自分でリサイクルショップを経営するというのは、さまざまなリスクとの戦いでもあります。
加入が義務付けられているものももちろんありますが、そうしたものも基本的には、「リスクを最小限にする」という目的には違いありません。