もし不正品やコピー品を買い取ったら?リサイクルショップが行うべき行動や義務

もし不正品やコピー品を買い取ったら?リサイクルショップが行うべき行動や義務

たとえば、こんなことを想像してください。
あるリサイクルショップで、ブランド品のバッグが大量に盗まれました。
後日、その盗難に遭ったお店から遠く離れたリサイクルショップで、犯人はそれらのバッグを売ろうとしたのです。

ところが、そこは同じ系列のリサイクルショップだったため、異変に気付いた店員が調べて、盗品だとわかりました。
もし気付かなかったら、どうなっていたでしょう……?

そして、世の中にはコピー品も多く出回っています。
このコピー品にも看過できない事情があります。

本物だと思うお客様にコピー品や不正品を売ってしまえば、お店の名前に傷がつき、大きな信用問題に発展します。
しかし、リサイクルショップにそういった商品が持ち込まれる可能性は少なからず存在します。

そういった時、どうすることが正しいのでしょうか?

不正品や盗品の買取を迫られたら…申告や差止め義務がある!

リサイクルショップでは、買取の相手を免許証などで身元確認をし、記帳して控えておくことが(ただし金額や取引する品などによっては免除されることもある)、古物営業法で定められています。

それほど、不正品や盗品には慎重な対応が欠かせないのです。
買取時のリサイクルショップの義務については、以下の記事で詳しく解説しています。
■リサイクルショップ運営者が買取時に実績すべき義務や注意事項とは?

不正品や盗品だと疑いがある場合は、警察に申告します。
疑いがある段階で、というのもポイントです。
そして、警察から「差止め」命令が来た場合は、30日間保管しなければなりません。

報告を怠った場合、どうなるの?

以前、某有名店が、盗品かもしれないという疑いがあることを知っていて、警察に報告せず放置していたというニュースが流れました。
まさに、上記の規定を破ったわけです。

古物営業法では、罰則の規定は設けられてはいませんが、そのリサイクルショップは、2週間の営業停止を申し付けられました。

刑事罰はなくても、行政処分の対象になることはあり得るのです。
2週間の売り上げがないこと、そして信用を失墜させたことは、結構な痛手ですね。

刑法が関わってくることもある!

では、盗品だとはっきり認識していながら、買取をした場合はどうなるのでしょうか?
もちろん、故意ですからその罪は重く、刑法256条第2項の盗品等譲受罪に問われます。10年以下の懲役、および50万円以下の罰金です。

(盗品譲受け等)
[……]
2  前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

刑法(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)より引用

しかも、刑の執行から5年経たないと、営業の許可がおりません。

買い取ってから、盗品だと気付いた!どうすれば良い?

この場合も、警察にすぐ連絡をしましょう。
リサイクルショップでは、盗難、遺失から2年間は無償で返還に応じなければなりません。
買取した相手が盗品だと知らずに店に売った場合は、1年間です。

また、リサイクルショップは、不正品、コピー品を見抜く知識と技術を習得しなければならないと古物営業法で定められています。

3 古物商又は古物市場主は、管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要なものとして国家公安委員会規則で定める知識、技術又は経験を得させるよう努めなければならない。

古物営業法(昭和二十四年五月二十八日法律第百八号)より引用

製品が持ち込まれた際に正しい査定ができる知識と人材を確保しておきましょう。

不正品や盗品の買取を迫られたら…申告や差止め義務がある!

ブランドの不正品やコピー品の見分け方ヒント

実際のブランドの商品を例に挙げて説明します。

例1:ブランド品の女王「シャネル」のバッグ、コピー品の主な特徴

  • ・金具に使われているネジがプラスネジである(本物は、マイナスネジが多数)
  • ・「CHANEL」のタグの上に丸で囲んだRの文字が印刷されていない
  • ・「CHANEL」のロゴが、金色の金具のバッグに銀色で刻印されている(その反対もあり)
  • ・刻印されている「CHANEL」の文字がどことなくアンバランス(Aの文字の天辺がとんがっていたりする)
  • ・金具部分のメッキがはがれている(本物の場合、汚れはするが、はがれにくい)

例2:時計の有名どころ「ロレックス」の時計、コピー品の主な特徴

  • ・ロレックスの有名なロゴである王冠透かしがはっきり見え、バランスが悪い
  • ・秒針が1秒ごとに小刻みに動く(本物は流れるように動く)
  • ・日付を変えた時、カチッとした音と共に、一瞬で午前0時に戻らない
  • ・ベルトの、コマの穴の大きさが一定ではない

盗品かどうか見分けるのは困難?

確実な証拠がない限り、100パーセント見分けることは困難かもしれません。
しかし、古物営業法で「品触れ」と呼ばれる、警察から「こういう物が盗まれた」という連絡が来るので、盗品かどうかの確認はできます。
その連絡事項は、6ヶ月間保管しなければなりません。

(品触れ)
第十九条 警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長(以下「警察本部長等」という。)は、必要があると認めるときは、古物商又は古物市場主に対して、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によつて領得された物(以下「盗品等」という。)の品触れを書面により発することができる。
2 古物商又は古物市場主は、前項の規定により発せられた品触れを受けたときは、当該品触れに係る書面に到達の日付を記載し、その日から六月間これを保存しなければならない。

古物営業法(昭和二十四年五月二十八日法律第百八号)より引用

また、売る人は身分証明書を厳重に確認されるので、それが少しは防波堤になるでしょう。

まとめ

盗品や不正品、コピー品を見分ける目を持つことが、リサイクルショップの店員の重要な要件になります。

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