創業来13期連続増収のネット型リユース企業が描く成長戦略 ~おいくら?連携で生まれるリユース企業とのシナジーとは?~

2019年10月23日に行われた「Reuse × Tech Conference for 2020」において、当社代表取締役社長の小林がトップバッターで講演をさせていただきました。 会場は満席となり、多くの反響をいただきました。
今回は、講演内容の一部をピックアップしてご紹介します。

Reuse×Tech Conference for 2020とは

Reuse × Tech Conference for 2020

業界紙「リサイクル通信」主催で行われたリユース業界のイベント。最先端を走る企業による講演や出展を通じて、具体的なテクノロジーの活用方法やEコマースに関するヒントを提供すると共に、これからのリユース業界におけるテクノロジーの可能性を探るイベントです。

イベントで開催されたセミナー(一部)

RECLO(リクロ)のリセール改革と世界戦略
アクティブソナー(社長)青木康時 氏
ZOZOUSEDがテクノロジーで変えるファッションサイクル
ZOZOUSED(社長)宮澤高浩 氏
AI(人工知能)鑑定の実力と可能性について語ろう
~二次流通マーケットの将来はこう変わる~
コメ兵(執行役員)山内祐也 氏
メキキ(社長)吉田悟 氏
テクノロジー×リアルでリユース市場を変革する
「なんぼや」が創造する未来戦略とは?
SOU(社長)嵜本晋輔 氏
ヒカカク!㊙データを初公開。買取競争を避けられる穴場カテゴリとは?
ジラフ(社長)麻生輝明 氏
リユース企業が実例で語る!今日からできる、買取依頼を2倍に増やす集客術
ウリドキネット(社長)木暮康雄 氏
二次流通×ITで見つけた広がる未来
BANK(社長)光本勇介 氏
ベクトル(社長)村川智博 氏

引用: https://www.recycle-tsushin.com/reusetech2020/

会場の様子

会社概要・事業概要

弊社マーケットエンタープライズは14年前に設立し、現在アルバイトも含めて353名で事業展開をしています。 事業内容はネット型リユースがメイン事業となり、メディア事業、モバイル事業を加え、大きく3つの事業で展開をしています。 本社と支社の他に、コンタクトセンター・サポートセンターを東京と徳島の2拠点で、リユースセンター・物流拠点を全国10か所で展開し、全14拠点で事業を行なっています。

事業拠点
売上高推移

個人事業の時期が2年間あり、創業3期目で1億円を突破しました。創業からの5年間で2回ビジネスモデルを変えています。 ネット型リユース企業へモデルを変更した後、マーケットの成長とともに企業成長を果たし、設立から9年目に東証マザーズへ上場しました。 ここまでがリユース単体で事業展開してきたフェーズとなります。 その後多角化展開をし、昨期売上が84憶円、今期売上は100億円を見込んでいる形で推移しています。

創業以来継続して増収展開をし、上場後様々な多角化のフェーズで投資をしました。 結果、昨期は過去最高益4億5千万円を突破し、今期は経常利益6億円を突破する見込みとなっています。

社名にある「マーケット」は「市場」、「エンタープライズ」の語源には「冒険する」という意味があり、市場を創出していく会社を興そうという想いで設立しました。 現在、長期ビジョンに「最適化商社」を掲げています。 消費行動が多角化していく時代の中で、様々な選択肢を提供できるような商社になっていこうという想いを持って経営しています。

現在、弊社が展開している事業のポートフォリオですが、大きくは3つの事業体に分かれています。

事業ポートフォリオ

ネット型リユース事業の個人向けの「高く売れるドットコム」がメイン事業になります。 商品の販売は「ReRe」というサービス名で販売をしています。 ReReはヤフオク!にて日本で一番商品を販売しています(※2017年、2018年度 2期連続でヤフオク!ベストストアアワード総合部門1位受賞)。

事業ポートフォリオ

ネット型リユース事業のフローはCtoBtoCとなります。 約30の買取専門のWebメディアから買取のご依頼をいただき、その後コンタクトセンターで商品の査定を行います。 設立当時は、まだ業界自体が非常に不透明で、商品を売りたいお客様からすると「お店に行くまでいくらになるか分からない」というのが一般的でしたが、 商品の落札データベースや、価格比較サイトのデータなどをAPIで連携し、事前に金額をお伝えするということを初めて実行しました。 お客様からすると事前に金額が分かるため、安心感のあるサービスを提供できました。 一方で事業者サイドからすると、買い取って販売する、その差益で利益を出すのがこの事業の収益ベースとなるため、 そういう意味では大きなチャレンジだったと思います。

ネット型リユース事業 特長:オペレーション

商品を宅配、店頭、出張とそれぞれで買い取る形で全国に拠点配備をしながら、商品を多くの方に見ていただくために、 自社ECやヤフオク!、楽天、Amazonに在庫連動する仕組みを自社で開発し、商品を販売していきました。 通常のリユース業界の在庫の回転率は、平均で年間4回から6回転と言われていますが、昨年の弊社の在庫回転率は年間17回転でした。 一ヶ月以内に商品が全て入れ替わる、非常に資金効率が良い形で事業が展開できています。

買取専門の30サイトの展開は「高く売れるドットコム」からスタートし、電動工具とフィギュアの買取専門サイトを作りました。 ニッチなマーケットからサービスを作った形です。現在はそのニッチの集合体として、月間で4万件強、年間で約50万件の買取のご依頼をいただいています。

ネット型リユース事業 特長:オペレーション

また、リユースのオペレーションの特徴として、大きな家電も含めEC、ウェブ戦略で展開したのが特徴です。EC、ウェブで商品を扱うにあたり、 実際に物流センターを全国に配備した方が、より早く商品を換金できる、総利用コストが安く済むというメリットから、全国に展開するに至りました。

また、弊社のスタンダードブックといわれるオペレーションマニュアルは、現在1,000ページを超えています。 入社してすぐのスタッフでも対応できるよう、商材に応じてナレッジを蓄積しています。 弊社ではクレームのことを「サービスリクエスト」と呼び、お客様のニーズとしてナレッジを貯め、そちらも一冊にまとめました。 現在はiPadで運用していますが、商品のタイプによって注意すべき箇所がわかるようになっています。

弊社で運用してシステムを少しご紹介します。 依頼管理は査定のデータベースという位置づけで、一元管理できるような仕組みにしています。 30の買取専門サイトがありますが、商品は小さいものから大きなものまであり、ニーズも引っ越し、換金、買い替え、断捨離、終活など様々です。 そのような多種多様な商品、依頼を一元管理できるよう、自社でシステムを開発し、 コンタクトセンター並びに全国10拠点のリユースセンターからアクセスができるようにしています。

ネット型リユース事業 特長:ITシステム

商品管理のデータベースの部分では、プライシング、金額の査定に対する仕組みも構築しています。 外部オークションの落札ベース等のデータ連携と、自社で蓄積したデータにより、 初めてのスタッフでも熟練スタッフと同じように査定ができるようになっています。 また、商材によっては完全に自動化できるところまで進んでいます。
商品の販売は、一品しかない商品を多くのお客様に見ていただくために、在庫と受注システムを連動し、 複数のマルチチャネルで商品を販売ができるよう、こちらも全て自社で構築しています。

ネット型リユース事業 特長:ITシステム

他にも、出張買い取りの際には自動で最短のルートを選択できるシステムの構築や、査定のオートメーション化として、 実際にお客様とのやり取りの際にシステムが自動で返信を行なう仕組みを取り入れています。

店頭、出張での買い取りも全て電子化し、買取伝票を使わず全てiPadで対応し、オペレーションの高速化に繋がっています。
他にもマーケティング分野など、様々な場所にテックの領域を使っています。

マーケットエンタープライズの変遷

ここから弊社の歴史をお話しした上で、本題に入っていければと思います。
設立が14期前、個人事業合わせると16年前に創業しています。23歳の時に創業しました。

設立当初「中古格安電池のECを展開」

使い捨てカメラの中にフラッシュを焚く専用のアルカリ電池が組み込まれているのですが、 まだ使える単三、単四のアルカリ電池が全部廃棄処分されている現実を知り、これはもったいない、ビジネスになると考え、 「格安電池ドットコム」というサイトを作り、100本単位の箱詰めにして販売するサービスをスタートしました。

非常に泥臭い創業期ですが、3LDKのマンションを借り、 リビングを事務所にし、男三人で二年間住みながら事業を進めました。当時はテックというよりは、IT・ウェブの領域だったと思います。

現在、日本のEC化率、全商品に占めるネットで売買される割合は6%程度ですが、当時はまだEC化率1%を切っている時代で、 100本単位の電池をネットで売るという、狂ったようなサービスからスタートしました。

ただ「リユース×ウェブ」という相性の良さは、当時から感じていました。 とにかく電池が大量にあったため、フリーマーケットへ出店し、販売もしていました。 途中から自分たちでフリーマーケットを主催しようと、「楽市楽座」という名前でフリーマーケットのサービスをスタートしました。

フリーマーケット事業は、2013年10月1日付で事業譲渡しており、現在当社では当該事業を運営しておりません。
また、フリーマーケットに関する画像は、事業譲渡前に当社が運営していた際に利用していたものです。

設立初期~中期「フリーマーケットの全国展開」

出展者の方から出展料金をいただいて、会場に会場費を納めて、その差額が利益になるようなイベント業となります。 最終的には36都道府県で述べ800回のフリーマーケットを開催し、日本で一番広域でのフリーマーケットを開催する企業になっていました。 数万人の方に出店いただいた実際の商品を見ると、洋服や雑貨、子供服など低単価のものは売買されますが、液晶テレビや時計など、 ある程度の単価の商品を持ち込んでフリーマーケットで売買する企業や個人の方がいないことに気づきました。

設立初期~中期

設立中期以降「ネット型リユースを展開」

この先ECが伸びていく時代の中で、「高額なもの、大型なものを安心して仲介できる事業者が必要になるのではないか」 と思うようになり、ネット型リユースの創業に入っていきました。
「高く売れるドットコム」からスタートし、売りづらいものも沢山集まり苦労しましたが、カテゴリを特化しながら展開し、 EC化率とリユース化率の増加するマーケットと重なって成長できたと思います。

取り扱う商材を増やし、対応エリアを増やす。
この二つの幅によって、需要を取り込み、設立から9年で東証マザーズに上場に至ったと思います。

創業こそはリユースがメインで、テックというよりはウェブ、オンライン、このあたりが入り口だったと思いますが、 現在はこのネット型リユース事業を広げることによって、オペレーション領域が非常に広がってまいりました。 10の物流拠点があり、どのように生産性を上げ、高い回転率で販売をしていくか、 という部分ではテックで解決できる内容が非常に多くあります。ただ、ボリュームがないとテックが入っていける場所がないと改めて思います。

テックって本気でやるとお金がかかりますよね。どこまで外部ツールを使って、どこから自社化してくかというのは大きなテーマかと思います。 新規事業は、IT×リユースの多角化展開という形でM&Aも含めて積極的に市場拡大を図っています。

マーケットエンタープライズの軌跡

Reuse×Techの融合

「賢い消費」への意識

若年層を中心に、賢い消費への意識が高まりを見せているという、消費者庁と環境省のデータです。

「賢い消費」への意識

リユース、中古に対する抵抗がなくなってきています。もともと日本でのリユースの発祥というのは鎌倉時代の質屋からと言われていますし、 坂本龍馬の実家も豪商をやりながら才谷屋という質屋をやっていました。古くから日本に根付いている文化だと思います。

現在はウェブの普及により情報格差がなくなり、抵抗もなくなってきています。特にヤフオク!のようなプロマーケットと、 メルカリのようなCtoCのマーケットができたことによって、今までリユースに参加してこなかった若い方や主婦も関わるようになりました。

相対的価値を意識する消費者は少数だったが・・・

当時、リユース業界はヤフオク!ができた時もマーケットサイズを大きく拡大しました。 そのためメルカリができたときも、私はリユースのマーケットが更に大きくなるという見方をしていました。
感覚的な部分として以前は絶対的価値、自分にとって満足度の高い買いものかどうかというのが大切だったと思います。 お金を持ったらいい車に乗る、のようなものから、最近の若い人はどれだけ賢くサスティナブルに消費をするかというところに代わってきたのかと思います。 相対的価値、再販価値が一般的になってきたと思います。

本質的な消費行動へのシフト

スマホの登場も革命的と思いますが、量販店で価格を比較して、価格コムの最安値を見て、 店頭とどっちが安いかと比べて消費活動をするのが一般的になったということだと思います。 ここから先は価格が安いかではなく、手放す時にそれがいくらになっているのかを考えながら、消費をするというのがこれからの流れだと思います。

「買う」→「売る」→「買う」の循環が加速

買って、売って、また買うと。そういった循環が一般的になりつつあるとも言えますので、リユースで消費は終わらないと思います。 経済界の方とお話すると、中古が進むと新品が売れなくなるのではないか、リユースが伸びると経済全体がシュリンクするのではないか、という話をされることがあります。中古マンションでも中古車でも、再販価値が明確になればなるほど、安心して商品を買えるようになると考えていますので、 勝ち組の商品がより明確になっていくというのがこれからの時代なのだと思います。 インターネット、テックの発展によって情報格差がなくなり、その中で消費者の多様化がどんどん進んでいる。これが今の状況かと思います。

不動産においては、「新築<中古」の意識が急激に浸透

また、賢い消費を別目線で見た場合、新築のマンションより中古のマンションのほうが取引が多い状態に日本も代わった、というデータもあります。 日本にリユースが根付いていると言いながら、逆だったということです。ヨーロッパなどでは中古の不動産のほうが価値が高い。 古い歴史のある町並みであれば、新築の入る余地がないためです。また、アメリカの方は平均的に人生で家を買う回数は、3回から5回と言われています。 住み始めて、子育てして、子育てが終わったら老後に違う不動産を買う。つまり生活に合わせて買っていきます。日本だけ新築、新品文化だった。 世界にどんどん近づいてきていると思います。

特にリノベーションが当たり前になってきたことによって、新築に住むより広い場所をリノベーションして住むほうがいい、という考え方です。 人生にかける消費の価格帯として一番高い不動産の領域から中古に代わってきたということは、他のものに派生してくると思っています。 本質的に、新品だから良い、新築だから良いという考え方が変わってきていると感じています。

リユースマーケットの更なる拡大

リユースの業界ですが、2025年には3兆円を超えてくるとの市場予測があります。 一度この成長が鈍化すると思いましたが、更に加速しているというのが今の状況だと思います。

また、テックな切り口で見ると、DtoC、Direct To Consumerが一般的になってきたと思います。 今までは中間マージンというものが多々ありました。流通で考えれば「問屋」などです。 生産者の方が問屋を挟まずに通販を介して消費者に直接販売する、ということが一般的になりつつあるのかと思います。

リユースの更なる拡大に寄与する、新しいビジネスモデルの登場
テスラ

特にテスラ・モーターズがモデルSを出した時は象徴的でした。 今までの車の業界というのは代理店や販売店を通してコンシューマーの方に販売をしていたのが一般的でしたが、テスラは販売代理店を一切使わず全て直営で展開をしています。 尚且つネットで直接予約を受け付け、その台数をベースに生産をしていく。完全にfablessメーカーの考え方で、自分たちで自前の工場を作らずに、受注を取ってから生産を開始するという形になってきました。

更にリユースと繋がる部分として、テスラがモデルSを売る際に、買取保証をつけました。5年後、モデルSをいくらで買い取りますよと。 1千万円で販売したモデルSを800万近くで買い取ると保証し、販売しました。5年間テスラに乗って約200万円しかかからない。 更に燃料代が安くなり、減税措置も受けられるというメリットもあります。実質タダ同然、と賢い人であれば受け取れるような販売の仕方をしました。

これは、あらゆる業界でこれから起こっていくと思っています。スーパーやコンビニ、流通業者も自分たちのPBを作ってメーカーになり、 メーカーも直接売るようになり、いよいよITとテックによって、あらゆる業界で中間マージンがなくなっていきます。

パナソニックストア

パナソニックが自転車をDtoCでネット販売する場合に、今まで代理店がやってきたアフターメンテナンスがメーカー側では行えない等の解決のため、 弊社と提携をした事例の一つになります。弊社が自転車の買取を担うことで、ネットで自転車を買った方が、必要のなくなった自転車を弊社に持ってきていただければ+αの恩恵を受けられるサービスです。 世の中を代表するような企業の方たちも同じような取り組みをしています。

Reuseにおける「Tech」

Reuseにおける「Tech」
マーケットプレイス

マーケットプレイスはヤフオク!、メルカリ、ラクマ等ありますが、大体1.2兆円くらいのマーケットになっています。 2025年に3兆円と言われており、ヤフオク!とメルカリで40%ほどを占めていると考えられるため、リユース業界はEC化率が40%という捉えられ方もできますが、 私は逆にこの3兆円というデータが間違っているのではないかと考えています。 もっともっと大きい市場なのではないかと思っています。

例えば、ガリバーさんやバイク王さんが買い取った場合は、USSを通じて海外に輸出されます。オールストッカーさんは建設機械のマーケットプレイス。 その他海外を見てみると、ザ・リアルリアルは先日ニューヨークで上場しましたが、日本のリユース企業ではなかなか考えられない一千数百億の時価総額をつけて上場しました。世界もサスティナブルに注目を持ってきていると思いました。 ドットメッド(DOTmed)は医療機器に特化した部分です。また、瓜子(Guazi)は先日ソフトバンクのビジョンファンドが出資をした会社です。 ビジョンファンドは日本には一社も出資をしていません。マーケットサイズの小さなところには出資しないと言っていましたが、中国でもいよいよ二次流通が始まっていると感じました。 あとはリッチーブラザーズというのは建築機械の、アメリカで上場をしているマーケットプレイスです。 海外でもマーケットプレイスはどんどん伸びている印象です。

買取価格比較

買取価格比較は3つ並べさせていただきました。 リユースの企業はどうやって、買取で戦うのか、販売で戦うのか、その他の付加価値で戦うのかというところはあると思いますが、買取数を増やすということはとても大切なことだと思っています。 弊社も【おいくら】というサービスをプロトコーポレーション様からM&Aという形で譲渡を受け、グループインをしました。 これからリユースの企業様にとっても、非常にメリットのある形を作っていきたいと思っています。

「実際にどのサービスを選べばいいの?」というところに関しては、基本的に全部入っていただくのが良いと思います。 良かったところを残していただければと思います。 弊社としても現在【おいくら】を更に良くしている最中ですので、ゆくゆく事業者の方にとってメリットのあるサービスにしていこうと思っています。 そういった意味では生命線である買取に課題をお抱えであればぜひ加入していただければと思います。

業務改善のソリューション

業務改善や出品方法、鑑定部分など、業務改善のソリューションは沢山あります。 エントロピーはアメリカの会社が今度日本に支社を作って参入してきていますが、この部分はAIとの絡みつきが多い業界だと思います。 実際に使用してみましたが、わかりやすい商品に関してはすぐに診断が可能になるようなものも出てきています。 ただ非常に多くのデータがAI化には必要なので、すべての商品をリユースがAI化するというのは現実的ではないと思います。 リユースの領域での商品のプライスに関しては消費者の方は興味関心が強いのですが、実際にそれを実現するにはプライスだけではなく、安心感があるのかなど、付加価値の要素が多いと思っています。

潜在的なリユース市場規模

先ほど市場規模3兆円が小さいという話をしましたが、経済産業省データの中で1年間に不要になったものの価値で見ると、だいたい7.6兆円と言われています。

潜在的なリユース市場規模

自社の領域で区切ってみましたが、内訳はCtoC向けの単価の安価な物が4.4兆円、単価の高い物や、付加価値の高いものが3.2兆円、非常に多くの大きな場所がマーケットとしてあると思っています。

「CtoC」と「CtoBtoC」の棲み分け

ただ、この経済産業省のデータにも含まれていないデータもあると考えています。 例えば、弊社で取り組んでいる医療機器や農機具を含めると、実際の新品のマーケットから中古車と同じように換算し、中古のリユースのマーケットを換算した場合、1.3兆円程あると自分たちで弾くことができました。 まだ見つけていないマーケットが多くあると思いますので、リユースのマーケットというのはもっと広がっていくと思っています。

「CtoC」と「CtoBtoC」の棲み分け

テックとの付き合い方の部分で、リユースという業界は新品のマーケットと比べた時に指標も含めて雑に取り扱われ過ぎだと思っています。 新品マーケットの場合はアパレル業界、家電業界など、それぞれのマーケットに対してそれぞれの切り口で色々なデータが出ていますが、リユースになると「リユース業界」という全体で捉えられます。 実際に区切ってみた場合、まず価格があります。どの価格帯で勝負するのかです。 弊社の場合は、リユースの方では一品あたり3万2,000円ほどの単価の高いものを多く取り扱っている事業者になりますが、どの価格帯でチャレンジするのか、どの商材の切り口で戦っていくのか、エリアでどういう戦略をしていくのか、その他付加価値はどうなのか。 パソコンであればデータ消去をするなど、そのような付加価値をどのようにつけていくのか。 更には、買取・販売、どちらにテックをつけていくかなど、それぞれの付き合い方としては企業様の戦略に応じて行われるため、全てにおいてテックということにはならないだろうと思っています。

「Tech」との付き合い方

「Tech」との付き合い方

例えば商材であれば、どうやって人的な部分で生産性を上げるのか、という部分で取り組んでいる企業様もいらっしゃると思います。 弊社の事例ですが、商品の販売の付加価値という部分では、3大保証を付けています。買取保証、初期の動作保証、延長で保証に入れるサービスの3つです。 これは商品の販売落札データベースを活用して、実際に返品率、リクエスト率というのを価格帯ごとに全部換算していくことにより保証のサービスを作れるようになったというところがあります。 ある一定のデータと買取からなのか販売からなのか、を区切っていくことによってテックとの付き合い方が出てくるのではと思います。

EC化率の推移

日本の全商品におけるネットで物を買う割合は、右肩上がりで6.2%まで来ました。

EC化率の推移 日本

各国のEC化率はこちらです。日本よりも進んでいる国が多いという状況だと思います。

EC化率の推移 各国

日本は国土が狭いですし、安全な国なので進まない背景もありますが、海外はEC化が進んでいます。 特に中国は20%を超えています。日本はガラケーからスマホという歴史がありましたが、中国はいきなりスマホを買う時代になっていますので、スマホ普及率が高い。 いま政府がPayPay等のキャッシュレス決済を進めていますが、中国はそちらの普及率も高い。今年に入って上海と深センに行きましたが、あちらは非常に進んでいると思います。 屋台でもみんな電子決済、結婚式のご祝儀すら電子決済と。偽札などの問題がありましたので、そういった部分の解消も含めて決済が進みました。 日本でも政府が力を入れ始めていますので、どれだけ決済が進んでいくのかというのは大きいと思います。

「Tech」だけでは補えない「リアル」の付加価値の発揮

一方で、逆に言うとEC化率が20%になっても、80%のリアルが残るということだと思っています。 テックサイドではない、リアルサイドへの参入は減っていくのかと思っていますので、双方とどうやって付き合っていくということも重要だと思います。 テックだけでは補えないリアルな付加価値の発揮という部分です。 消費者の方が初めてリユースに参加をした際、初めの興味関心はプライスだけだったが、実際値段だけではないと気づき始めるわけですよね。 例えば、「安心できる事業者がいい」「個人情報の管理は適切か」「自分で梱包するのは面倒」 「取りに来てくれたほうが嬉しい」「持って行ったらすぐ換金してくれる方がいい」など。

「Tech」だけでは補えない「リアル」の付加価値の発揮

また、決済が進んでいくとメルペイがあって、楽天ペイがあって、PayPayがあって、LINE Payがあって、Amazon Payがあって、多くの決済があるためどこに自分のお金があるのか分からない、ということになってきます。 決済が全て変わるのかって言われるとそうではなく、お金のほうがいいという部分も残り続けるのではと思いますので、手軽さに回帰してくる部分も起こってくると思います。

一方で年配の方に目を向けてみると、日本は資産の7割以上を60代以上が持っている国です。 その中で年配の60歳以上の方が、PayPayなどの決済を使っていくかというと、自分の父親を考えても、明らかにモバイル決済はしないだろうと感じます。 そもそも、らくらくフォンを使っていますし。そういう意味では、日本の資産の7割以上が決済で動かず、現金が残り続けると見ています。

あとは物流。ラストワンマイル、安心安全の部分や送料のコスト、梱包のコストなどが付加価値として残り続ける業界というのが、このリユースの業界かと思っています。

リアルとIT、それぞれの特徴という部分で、このようなオペレーションの価値とテックの価値をかけあわせて融合していくことが重要だと思います。

マーケットエンタープライズのReuse × Tech

課題解決に向けた、新たなTech施策【おいくら】

【おいくら】ですが、現在約1,400店舗の加盟店様に加盟いただいています。 弊社で全国に物流センターが10拠点ありますが、どんなに弊社が拠点を作っていっても20拠点くらいまでしか成り立たないと思っています。 実際には沖縄に出張買取に来て欲しい、という要望や人口が多くないところでの店頭買取の依頼をいただいても、弊社で賄うことはできないと思っています。 先ほどの資産価値を持ってらっしゃる方や、消費者の方たちにとってリユースが身近な状態になってきてはいるものの、ITリテラシーが高くないと取り残されてしまうゾーンというのがあると思うので、共に解決を図っていきたいと思っています。

【おいくら】によって、当社が解決を目指すポイント

弊社で【おいくら】を自社で運営しようと考えた理由として、弊社では買取のご依頼を月間で約4万件いただいていますが、その3割強の約1万5,000件は、店舗がないからお伺いできない、商材を取り扱っていない商材などの理由からお断りをしている状況です。 そのようなご依頼を加盟店の皆様と連携することで、リユース全体の発展に寄与できればと思っています。 今やっと連携送客をスタートし始めたところになります。 前会社のプロトコーポレーション様が運営していた時と比べ、弊社のご依頼を送客することによって、約1.7倍の依頼に増えることになりました。

【おいくら】によって、当社が解決を目指すポイント

まだまだ課題はあるため、仕組みの改善等を進めていますが、多くのご依頼を加盟店の皆様に送客していくようになっていくと思います。 それはあらゆる商材で出てくるため、様々な企業様と対応させていただきたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。

買取という部分でのバリューは、リユースは買わないとなかなか売っていくことができないと思います。ブランド、車の場合は実際に「市場で買って海外で売る」「店舗で売る」などの考え方があると思いますが、一般リユース商材の場合は買い取って売るというところが大きなウェイトを占めると思っています。 買取×価格帯、商材×買取、エリア×買取という部分では【おいくら】と共に対応していただくことも多分にあると思います。

そのような中、一企業様だけでは販売し得ない、販売の方でも盛り上げていくような流通網も作っていければと思っています。

弊社は、eBayでも過去40カ国に商品を販売してまいりました。今は医療機器などの商品の9割以上は海外に販売しています。 色々な専門商材で日本の商材を海外に輸出する取り組みを始めていますので、加盟店の皆様にそういった販売経路もご提案できればと思っています。
基本的には、弊社の強みとボトルネックになっているような課題の部分の解決が一緒にできればと思っていますので、この部分を構築していければと思っています。

世界的なReuseの潮流

最後に現状の流れなどをお伝えしていければと思っています。 私も昔からリユースが大好きでして、中学生くらいのときにアメカジが流行っていた世代ですので、古着屋に足繁く通い、高校は私服の高校でしたのでフリーマーケットにも数多く行きました。 その中でリユースの文化というのが少しずつ入ってきて、また当時BOOKOFFさんが上場したタイミングでしたので、リユースの機運が高まり始めて、勃興期だったのかと思います。

時代の変化と産業に求められる役割の変化

リユースが3Rサイクルの中で捉えられるような広義な意味になってきました。 これは経済産業省や環境省が色々な取り組みをした結果、日本全体に3Rという言葉が浸透したのかと思います。特にCSRと言われるような、企業の社会的責任などです。 CSVといわれるような企業の価値というところで語られることが多かったと思いますが、なかなかここにお金がついてこなかったというのが、これまでの流れだったと思います。

世界的な潮流の中でのReuse

SDGsは持続可能な開発目標として国連で採決されました。流れが変わってきていると思います。 気候変動などを含めて、世論が味方についてきていると思います。 私はマーケットエンタープライズの代表をやりながら、昨年までは「EO Tokyo」という起業家機構の会長を務めさせていただいたり、大学の理事をさせていただいたり、色々な取り組みをしていますが、学生でSDGsという言葉を知っている人は非常に多くいます。特に中学生高校生でもこの言葉を知っている人が増えてきていると思っています。 先日面接した方で、SDGsの記事が採用サイトにあるかどうか見ています、という方もいました。 それくらい、この世論がリユースを味方につけているのが一つの流れです。

もう一つはお金がついてきたというのがあると思います。 いま世界で一番大きな金融ファンドはGPIFという日本の年金を運用している機関ですが、そちらの投資方針もどれだけサスティナブルであるかどうか、そういったものを投資基準の最たる場所に入れるようになってきました。 これは世界的な流れだと思っていまして、世論もお金もSDGs、サスティナブルであるかどうかというところで取り組みが大きくなってきていると思いますので、これは大きくテック業界でリユースに参入してくる方たちもたくさん調達ができる可能性もあるということになっていますし、投資家サイドも消費者の方もリユースの見方が変わってくると思います。

当然事業ですので、戦略や自社が利益を追求することも大事だと思いますが、リユースに関わる業界の皆様と一緒にSDGs含めたリユースの業界が少し前に出られたら嬉しいと思いますので、この取り組みを一緒にさせていただければと思います。

色々お話をさせていただきましたが、このリユース、ITの領域で仕事をやってきましたが、今までにないくらい注目を浴びるような業界になってきていると思いますし、マーケットサイズも、もっと拡大していくことになると思います。

日本は世界で一番の高齢化社会の課題先進国です。中国に行ってもまだ新品のテレビを初めて買っている方たちが多いです。 日本の場合はブラウン管テレビがあって、液晶テレビがあって、いま4Kにするかどうか悩んでいるような状態だと思いますが、カンボジアなどで楽器のリユースと言っても、トランペットを吹いている子を探す方が難しいような状態です。 リユースがまだ始められないマーケットが、先進国ではなく後進国だと思います。 リユースの上場企業が出ている国というのは日本だけになりますので、課題先進国で培ったノウハウをこれからどうやって海外で出していくかというのが重要と思います。 そんな時代がこれから先の10年になっていくと思いますので、共にこのリユース業界を盛り上げていければと思います。