全国の自治体がごみ減量と処理コストの抑制を模索する中、静岡県函南町は令和8年3月にリユースプラットフォーム「おいくら」との連携を開始しました。
仁科喜世志町長が指揮を執る函南町では、中東情勢に伴うごみ袋不足への迅速な臨時措置など、住民に寄り添った危機管理を展開しています。その柔軟な姿勢は平時の環境施策にも活かされ、自宅回収による高齢者世帯への負担軽減や、富士のふもとの豊かな自然を次世代へ繋ぐ「人にやさしい」仕組みづくりを見据えています。
本記事では、有事の対応力と平時の資源循環を両立させる、持続可能なまちづくりの未来に迫ります。
- 昭和51年に函南町役場入庁。長年にわたり町政の現場で尽力したのち、平成23年、静岡県議会議員に就任後2期務める。総務部長などの要職を歴任し、長年培った行政経験を糧に令和6年2月をもって役場を退職した。
平成30年に函南町長に就任し、3期目の現在は第六次函南町総合計画の最終年度であると同時に、新たな第七次函南町総合計画の策定の年でもあるため勢力的に活動。
座右の銘は一日一生。
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ごみ減量と負担軽減を両立する、函南町が挑むリユース施策

――函南町では生ごみの堆肥化や地域での資源回収など、町民の皆様の協力による高い環境意識が根付いています。一方で、近年は粗大ごみの処理コストや、排出時の負担といった課題も無視できません。今回、民間サービスである「おいくら」との連携に踏み切った、最大の狙いと期待をお聞かせください。
函南町は、令和5年3月に環境基本計画を策定し、基本目標の1つとして「ごみ減量」を重要な環境課題の一つと捉え、資源の有効活用と循環型社会の実現を目指しています。これまで生ごみの減量や資源の分別回収の徹底など、町民の皆様とともに環境にやさしい暮らしの実践に努めてまいりました。しかしながら、1人1日あたりのごみの排出量が静岡県の平均より多くなっており、その解決が課題となっています。
こうした中で、今回の「おいくら」導入は、単にごみを減らすだけでなく、町民の皆様が不要品を価値ある資源として再利用できることを目的としています。民間のプラットフォームを活用することで、粗大ごみを処分前にリユースの選択肢として提供し、ごみの減量とともに循環型社会の推進に期待しています。
最大の狙いは、環境負荷の軽減と町民の生活負担の低減を両立させ、持続可能なまちづくりを推進することです。今回の連携を通じて、リユースの習慣がさらに広がり、函南町全体でごみ減量の取り組みがより一層進むことを願っています。
ごみ袋不足を機に加速する函南町のリユースとごみ減量

――貴町では2026年5月4日より、中東情勢の影響によるごみ袋不足を受け、指定外の袋でも排出可能とする臨時措置を迅速に決定されました。こうした有事における柔軟な対応は住民に大きな安心感を与えましたが、改めて「ごみそのものを減らす(リユースする)」という習慣を定着させていくことの重要性について、町長のお考えをお聞かせください。
この度のごみ袋不足の問題に際し、迅速に指定外の袋での排出を認める臨時措置を講じ、町民の皆様に少しでも安心していただけたことを大変うれしく思います。有事における柔軟な対応は、行政としての責務であり、今後も適切に行ってまいります。
しかしながら、この事態は改めて「ごみを減らす」こと、つまりリユースやリサイクルの習慣を町民の皆様に一層定着していただく必要性を示すきっかけでもあると感じております。
函南町ではこれからも、ごみ減量とリユースの推進を町の重要な施策として掲げ、町民の皆様と一緒に持続可能な暮らしを築いていきたいと考えています。
今回の「おいくら」との連携もその一環であり、今後もあらゆる機会を活用して、ごみそのものを減らす取り組みを広げてまいります。
住民の負担軽減と意識改革で進める函南町の循環型社会
――「おいくら」は自宅への引き取りにも対応しており、特に重量のある不要品を処分したい高齢者世帯等にとって、非常に利便性が高いものです。こうした民間インフラの活用が、函南町が掲げる「誰もが住みやすいまちづくり」にどう寄与するとお考えですか。
「おいくら」のような民間の利便性の高いサービスを活用することは、誰もが住みやすいまちづくりにとって重要だと考えています。特に高齢者世帯や身体の不自由な方々にとって、重量があり運び出しが難しい不要品の処分は大きな負担となっているのが現状です。
このプラットフォームの自宅までの引き取りサービスは、その負担を軽減し、住民一人ひとりに寄り添ったサービスの提供につながります。これにより環境施策だけでなく、住民サービスの向上も同時に実現できるでしょう。
町ではこうした「人にやさしい」環境施策を通じて、高齢者の方々も含めた全ての住民が安心して生活できる環境づくりを進めていき、今後も地域のニーズに応える柔軟な取り組みを推進し、誰もが暮らしやすい函南町を目指してまいります。
――函南町の美しい自然環境を守ることは、町のアイデンティティそのものです。不要品を安易に捨てず「価値ある資源として繋ぐ」リユースの文化を、今後どのような形で町に根付かせていきたいとお考えでしょうか。
函南町は「環境・健康・交流都市かんなみ」を掲げ、富士山の眺めをはじめ、風光明媚、緑豊かな自然環境に恵まれた町です。この美しい自然環境を次世代に継承するためには、資源を大切に使い、ごみを減らすことが不可欠だと考えます。
リユースの文化を町に根付かせるためには、単なる取り組みの一環としてではなく、住民の皆様の日常生活にしっかりと浸透させる必要があります。具体的には、町の広報やイベント、教育の場を通じてリユースの重要性を繰り返し伝え、不要品を「価値ある資源」として見直す意識改革を促していきます。
函南町はこれからも、町民の皆様とともに自然と共生する循環型社会を推進し、美しいふるさとを未来へとつないでまいります。

まとめ
――さいごに、日頃より町の環境施策にご尽力いただいている町民の皆様へ、今回の新サービス(おいくら)を通じた「未来の函南町」へ町長としてのメッセージをお願いいたします。
日頃より、函南町の環境保全やごみ減量にご協力いただいている町民の皆様に、心から感謝申し上げます。皆様のごみの分別や資源回収へのご理解とご協力があってこそ、私たちの町は美しい自然環境を守り続けることができています。
このたび、新たに導入した「おいくら」というリユース促進サービスは、皆様の負担を軽減するとともに、不要品を価値ある資源として再活用し、ごみ減量をさらに推進するものです。これを機に、ぜひ一度お手元の不要品が粗大ごみになる前にリユースを検討していただき、町の環境と未来を守る一助としていただければ幸いです。
私たち函南町は、これからも皆様とともに環境にやさしい持続可能なまちを築き、次世代へ美しい自然と快適な生活環境をつないでまいります。今後ともご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。