【和光市長インタビュー】「捨てる」から「未来への投資」へ。伸びゆく和光市が挑む、市民と育むリユースの文化

タグ:

最終更新日:2026/08/17

全国の自治体がごみ減量と持続可能な資源循環のあり方を模索する中、高い交通利便性を背景に2035年頃まで人口増加と発展が見込まれる埼玉県和光市。

柴﨑光子市長が舵取りを行う同市では、ごみ広域処理施設の建設に伴う「リサイクル展示場の閉鎖」という転換期を、住民サービスの低下ではなく「サービスの進化」の好機と捉えました。2024年9月に民間サービスであるリユースプラットフォーム「おいくら」を導入したことで、市民が大型家具などの処分時に自宅にいながら手軽にリユースできる「人にやさしい」環境インフラへのアップデートを実現しています。

本記事では、都市の発展と環境保全の共生を目指し、市民とともに「捨てる」から「未来への投資」へと繋ぐ意識改革に挑む、和光市の先進的なリユース戦略に迫ります。

プロフィール:柴﨑 光子(しばさき みつこ)
  • 学習院大学経済学部を卒業後、税理士として長年にわたり税務・財務の専門知識を培う。
    その手腕を買われ、2014年から3年間にわたり和光市監査委員を務めた後、2018年からはシンガポールの投資ファンドに勤務し、グローバルな経済・財務の最前線で活躍。
    帰国後の2021年5月に和光市長選挙に初当選し就任。現在は「持続可能なまちづくり」を掲げ、確かな経済センスと包摂的な視点から市政を牽引し、2期目を務めている。
    ⇒和光市ホームページはこちら

 

既存の枠を超えた「サービスの進化」へ。和光市×「おいくら」が拓くサーキュラーエコノミーの最前線

――和光市はこれまでも積極的な環境施策に取り組んでこられましたが、今回、民間サービスであるリユースプラットフォーム「おいくら」との連携に至った背景、そして現在の確かな手応えについてお聞かせください。

和光市は、「持続可能なまちづくり」を目指しています。以前に実施していた粗大ごみの無償譲渡は、リユース文化の先駆けとして一定の役割を果たしてまいりました。
一方で、ごみ広域処理施設建設に伴いリサイクル展示場を令和5年(2023年)12月をもって閉鎖したことにより、循環サイクルのスローダウンが懸念されました。

「おいくら」導入の背景としては、こうした循環サイクルのスローダウンの改善と共にサーキュラーエコノミーの形成に向けて、民間のもつ広大なネットワークを活用し、迅速かつ効率的にリユースの機会を創出するという想いから導入を決めました。

導入後は市民の皆様より「手間をかけずリユースできた」とのご評価をいただき、柔軟にリユースのサイクルに乗せる取組として確かな効果を実感しています。

 

人口増加都市の責任。2035年の未来を見据えた「都市の発展と環境保全の共生」

――和光市は交通利便性の高さから、現在も人口が増加し続けている非常に活気のある都市ですね。そうした都市としての「成長・発展」と、ごみの減量をはじめとする「環境保全」をどのように両立させていかれるのでしょうか。

和光市は交通利便性の高さから、2035 年頃まで人口増加が見込まれています。人口が増加することで発展を遂げているからこそ、環境への負荷を抑えるインフラ整備が重要であると考えます。

こうした課題を解決する手段の一つとして「おいくら」の活用は最適だと思っています。「捨てる前にリユースを検討する」ということを習慣化することで、市民一人一人が成熟した社会を形成する一員であるという意識を持っていただきたい。そして、リユースが当たり前となることで都市の発展と環境保全の共生を実現させたいと考えています。

 

マイナスを「サービスの進化」へ。高齢者や子育て世帯に寄り添う「ドア・ツー・ドア」の温かさ

――「リサイクル展示場の閉鎖」と聞くと、市民の方の中には一瞬「サービスが低下してしまうのではないか」という不安を抱く方もいたのではないでしょうか。そこをどのように価値のアップデートへと転換されたのですか。

和光市では全国に先駆けて「リサイクル展示場」を設け長らくリユース品の展示・提供などを行っていましたが、ごみ広域処理施設建設に伴い令和5年(2023年)12月をもって閉鎖しました。「リサイクル展示場の閉鎖」と聞くと、サービスが低下するのではと感じる方もいるかもしれません。しかし、私たちはこれを「サービスの進化」として好機であると捉えました。

例えば、市民の皆様が頭を悩ませていた大きな家具の処分。これまではご自身で展示場や処理施設に運ぶ必要がありましたが、「おいくら」は買取が成立したら自宅まで引き取りに来てくれる「ドア・ツー・ドア」のサービスが受けられます。

これは、単なるごみの減量という環境保全だけでなく、高齢の方や子育て世帯などの負担を減らし、どなたにとっても「暮らしやすい」サービスへの転換でもあります。結果として、誰もが利用しやすい環境インフラへとアップデートできたと自負しています。

 

「資源を循環させることが、未来への投資になる」――子どもたちと地域コミュニティで育むリユース文化

――「捨てる前にまずリユース」という習慣は、一朝一夕に浸透するものではありません。この意識を、次の世代を担う子どもたちや地域全体に根付かせるために、どのような取り組みが必要だとお考えですか。

資源を大切にする意識は、簡単に身につくものではありません。だからこそ、日々の「環境教育」と、実際にモノを循環させる「体験学習」を同時に進めることが重要だと考えています。

例えば和光市の小中学校では、清掃センターの見学や食品ロス対策などを通じて「モノを長く使うことが、どれくらい地球環境に貢献しているか」を具体的に伝えています。それに加え、今後は市のイベントや広報を通じて、「誰かの不要品が、誰かにとっては宝物になる」という実感を、市民の皆様と共有していきたいです。

「資源を循環させることが、未来への投資になる」という意識を、和光市の文化として定着していくことを目指しています。

 

市民と共に楽しみながらつくる、心地よく暮らし続けられる和光市の未来

――最後に、日々、ごみ減量や環境保全にご尽力いただいている市民の皆様へ、改めて市長からの感謝の想いとメッセージをお願いいたします。

和光市の未来は、市民の皆様一人ひとりの「少しの意識の変化」が積み重なってつくられていきます。

「おいくら」を活用して、暮らしの中に気軽にリユースを取り入れてみる。そんな小さな一歩が、実は持続可能なまちづくりへの大きな貢献につながっています。

未来の和光市は便利なだけでなく、誰もが心地よく暮らし続けられる場所でありたいと強く願っています。「ごみを減らす工夫」を、ぜひ市民の皆様と一緒に楽しみながらこのまちの未来をつくっていきたいですね。

引き続き、ご理解とご協力をお願いいたします。

 

まとめ

今回のインタビューを通じて、柴﨑市長が語るリユース施策は、単なる廃棄物処分の代替案ではなく、2035年まで人口増加が続く和光市の持続可能な発展を支えるための「未来への投資」であることが強く伝わってきました。

「おいくら」という民間の力を活用したことで、リサイクル展示場の閉鎖という転換期を、むしろ自宅にいながら不要品を手放せる「ドア・ツー・ドア」のやさしいサービスへの進化へと見事に昇華させています。これは、高齢者や子育て世帯の負担を減らすだけでなく、一人ひとりが成熟した社会を支える一員であるという主体性を育む、極めて具体的な環境アクションに他なりません。

「モノを循環させることが、私たちの未来を守る文化になる」という気づきを、次世代への教育とともに街のアイデンティティへと育てていく和光市の歩み。都市の発展と豊かな暮らしが無理なく共生するこのアプローチは、人口減少期に差し掛かる全国の自治体にとっても、持続可能な発展を遂げるための確かなロールモデルとなるはずです。