狭山市は、2023年3月28日に株式会社マーケットエンタープライズと業務連携協定を締結し、同社が運営するリユースプラットフォーム「おいくら」をリユース事業として導入しました。
ごみの排出量が減る一方で処理費用が上昇するという課題に対し、狭山市はなぜ、民間のリユースプラットフォーム「おいくら」との連携を選んだのか。行政が「自前でやる難しさ」を認識し、民間に求めたものとは。市民、そして隣接する自治体と共に歩む、リユースの未来について話を伺いました。
- 埼玉県狭山市長。1972年生まれ。専修大学法学部卒業。狭山市議会議員を3期務め、議長、総務経
済委員長などを歴任。2015年より現職。
⇒狭山市ホームページはこちら
排出量は減少しても、処理費用は上昇する矛盾

――現在、狭山市のごみの排出量について、どのような課題感を認識していらっしゃいますか?
ごみの排出量については、事業者・市民の皆さんのご協力をいただいて、年々減少傾向にあります。より一層の分別や、無駄なものは買わないといった課題を解決していけば、まだ、排出量を下げていくことは可能であると考えています。
処理費用については、昨今、燃料費や人件費など年々上昇しており処理費用の抑制が課題と捉えています。
――今回の取り組みはゼロ予算で行われているものとなっておりますが、この点についてはいかがでしょう?
事業提案を受けた時から、仕組みの良さを感じて、協定を締結しており、一定数の市民の皆さんの間にもこの事業が浸透していると感じています。行政は、問題を解決するために自前でシステムを構築し、予算を充てて実施しますが、行政で出来ない民間のシステムをゼロ予算で用意していただけるのは、魅力的で大変ありがたいことだと思います。
今後の展望としては、現在の「ゼロコスト」という枠組みだけに縛られる必要もないと考えています。ゴミ処理コストが年々上昇するなかで、もしさらなるコスト削減や住民サービスの向上に繋がるのであれば、その費用対効果をしっかりと見極めた上で、より踏み込んだ取り組みを検討する余地は十分にあります。
行政の状況に合わせて、活用の幅を広げられるような選択肢が今後増えていくことを期待していますし、コストに見合う成果が得られるのであれば、それは投資すべき価値のある事業になるはずです。
身近なリユースの積み重ねが大きな力に

――カーボンニュートラルの実現という戦略の中で、このリユース事業はどのような役割になるとお考えですか?
本市を含み、所沢市・飯能市・入間市・日高市で構成される埼玉県西部地域まちづくり協議会において表明された「ゼロカーボシティ共同宣言」に基づき、2050年二酸化炭素排出量実質ゼロの脱炭素社会を目指しています。
市民・事業者・民間団体と力を合わせて地球温暖化対策に取り組んでいますが、その達成には日常生活に根差した具体的な行動の積み重ねが不可欠です。この事業は、リユースの積み重ねにより粗大ごみ処理量が減少し、処理に伴い発生する二酸化炭素の削減を図れる取組みの一つであると捉えています。
地域全体での「共創」

――近隣の自治体に対して、どのような影響を与えていきたいとお考えですか?
「狭山市は狭山市で、他市は他市で」というように個別の自治体だけで完結できる時代ではないと考えています。現在は、地域全体で共通の課題に取り組むような時代ですし、例えば巨額の費用を要するごみ処理施設なども、これからは個別の自治体だけでは更新できないような時代を迎えようとしています。
そのような中で狭山市としては日ごろから広域行政圏として、協力関係にある近隣市に呼びかけ、給食センターなどで出る廃食油を集め、バイオ燃料にして地域で使うという取り組みもしています。地味かもしれませんが、一歩ずつです。リユースに関しても、地域全体で実績データを開示して競争をしたり、協力目標ができたりすると面白いですよね。
まとめ

――最後に市民の皆様に向けて、メッセージをお願いします。
先日、海に関することに非常に関心を持った高校生が、海の課題に関するエキスパートなど全国にいる様々な人を巻き込んで教科副読本を作成し、小中学校に寄付してくれたことがありました。私は若い行動力に驚かされました。
このように若い世代の方たちが周囲を巻き込んで、実際に行動を始める実例を見ることが他にもあります。これからは年齢や性別、職業などの違いを超えて、明るく前向きに行動することが、社会課題を解決していく近道であると実感しています。
この取り組みを機にみんなで連携して、一歩ずつ前進していく社会の実現を目指していきます。